住宅購入資金を援助してあげるなら、どれがお得?

 
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相続106

 

住宅を購入するための資金を親が援助してあげる場合、

  1. 住宅取得資金贈与の非課税特例をつかい、すべて子どもの持ち分とする。
  2. 親が拠出した分だけ、親の持ち分を入れる。
  3. 親から子どもへお金を貸したことにし、すべて子どもの持ち分とする。

の3つのパターンが考えられます(2つ以上のパターンを組み合わせる方法もあります)。

どれが税金的(相続税・贈与税)にお得なのでしょうか?

 

税金的には、贈与>親の持ち分を入れる>貸したことにする、の順

税金的には、

  1. 贈与(非課税枠の範囲で)
  2. 親の持ち分を入れる
  3. 親から子へ貸したことにする

の順に有利です。

たとえば、4,000万円の家を買うのに、親が1,000万円援助してあげた場合で考えてみます。

贈与

贈与なら、親にしてみれば1,000万円のお金がごっそり自分の手元から無くなるわけなので、その分だけ相続税への効果は絶大です。

さらに非課税特例を利用すれば、贈与税もかかりません(契約の時期によってその枠は違います)し、「相続前の3年以内の加算」も非課税枠分は適用されません。

親の持ち分を入れる

この場合、子:3,000万円 親:1,000万円 なので、持ち分は

  • 子:4分の3
  • 親:4分の1

となります(違う割合だと、一方から他方への贈与となってしまいます)。

当然、親の持ち分相当額は、親の財産(不動産)となります。

ただしその評価額は、拠出した1,000万円のままではありません。

  • 土地であれば、約8割程度の評価額になります。
  • 建物であれば、5~7割程度の評価額になります。
  • マンションならさらに評価額を落とすことも可能です。
  • 親も同居するのであれば、相続の際、土地については評価額をさらに8割引き(最大)できる【小規模宅地等の特例】の適用が可能です。

贈与のように、1,000万円が0円にはならないものの、大幅に評価額を落とすことは可能です。

贈与の非課税特例が諸事情で使えないなら、この方法を検討してみてもよいかと思います。

貸しつけ

この場合は、親の【現金1,000万円】が【貸付金1,000万円】という財産に変わるだけなので、贈与税は発生しない代わりに、相続税の節税効果もありません。

これを子どもが少しずつ返していったとしても、今度は【貸付金】が減って【現金】が増えるだけなので、やはり相続税には影響がありません。

 

それぞれの方法の注意点

方法によっては、税金的にお得ではありますが、他方で注意しなければならないこともあります。

贈与

子どもが何人かいる場合、その内の1人にだけ住宅取得資金贈与をすると、

「俺は援助してもらってないのに、兄貴だけズルい!」ということで遺産分割の際にもめる可能性があります。

そうなった場合には、この贈与分を相続時の財産に含めた上で、公平に分ける必要が出てきます(税金計算上は含めなくてもいいのですが、「遺産分割」上は他の相続人が異議を申し立てれば含める可能性が出てきます)。

これを「特別受益」といいます。

そうならないように、贈与のバランスを考慮することは大切ですし、遺言書を書くことでそういった争いに発展しないように防ぐこともできます。

親の持ち分を入れる

子どもの住まいと言っても、そこに親の持ち分が入っていれば、親の相続の際には相続財産として、遺産分割の対象となります。

親の持ち分が他の子どもに行くことで、きょうだいでの共有状態となる恐れがありますので、そうならないように遺言書で行き先を担保しておいてあげましょう。

貸しつけ

お金を貸したことにしただけではいけません。

「金銭消費貸借契約書」を交わしておくこと、金融機関からの融資と変わらない条件とすること、定期的に返済しておくことなどが重要です。

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