親子間でお金を貸し借りするときの注意点
事業資金や不動産の購入などの資金調達の方法として、金融機関から調達(借入)するほかに、親族間でお金の貸し借りをすることも多いかもしれません。
親族間の中でも、特に親子間の貸し借りとなると、なあなあになることが多いですが、きっちり体裁をととのえておかないと、あとで税金面で問題になることがあります(そうでなくても、お金の貸し借りならきっちりしておきたいところです)。
金銭消費貸借契約書を作っておく
金融機関からお金を借りるときは、
- 借入金額
- 返済期間
- 返済方法
- 利率
- 担保
などを事細かく取り決め、契約書を交わした上で融資が実行されます(これ以外にもたくさんの決め事がなされます)。
このようなお金の貸し借りに際して取り交わす契約書のことを「金銭消費貸借契約書」といいます。
親子間のお金の貸し借りでは、金銭消費貸借契約書はおろか、簡易的ないわゆる「借用書」と呼ばれるものすら作っていないケースがありますが、本当は金銭消費貸借契約書を作っておくことが望ましいです。
作っておくことで、相続の際に、これは贈与ではなく、お金の貸し借りであると言える証拠となるからです。
このような一般的なひな型で作っておけば、とくに公正証書などにする必要はありませんが、貸主・借主それぞれに1通ずつ作って持っておいた方が良いです。
金銭消費貸借契約書を交わす際の注意点
ただし、ただ金銭消費貸借契約書を交わしておけばよいというものでもありません。
体裁だけ整えて、実際にはお金を返していない(または返してはいるけれどもいつまで経っても返済が終わりそうにない)場合には、貸し借りではなく、贈与とみなされることもあります。
次のような点に注意して、融資の条件を決め、それを金銭消費貸借契約書に落とし込むようにしましょう。
融資金額 | 借りる側の年収で返済可能な金額かどうか? |
返済期間 | 貸す側が存命中に返済が終了するかどうか? |
返済方法 | 定期的(毎月、毎年)返済しているかどうか? |
利率 | 金融機関から借りるのと同程度の利率かどうか? |
ただし、利率については、他の項目をきっちりしておけば、無利息でも指摘を受けることは少ないです(契約書には「無利息」と明記しておいた方がいいです)。
さらに、これらを契約書にきっちり盛り込んでおけばよいというのではなく、この契約書にしたがって、きっちり返済をしているという事実が大事です。
その事実を残すためにも、子どもの口座から親の口座に返済金を振り込むようにしておきましょう。
その他の注意点
利息をもらったら確定申告が必要かも
貸す側が利息を受け取っている場合には、確定申告が必要になることがあるかもしれません。
貸す側がサラリーマンや年金生活者であれば、利息収入が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
2,000万円以上貸していて、利率1%以上なら必要になるかもしれない計算です。
印紙を貼りましょう
金銭消費貸借契約書には、貸し借りする金額に応じた収入印紙を貼ることが求められています。
契約金額 | 印紙代(1通につき) | 契約金額 | 印紙代(1通につき) |
10万円以下 | 200円 | 1億円以下 | 60,000円 |
50万円以下 | 400円 | 5億円以下 | 100,000円 |
100万円以下 | 1,000円 | 10億円以下 | 200,000円 |
500万円以下 | 2,000円 | 50億円以下 | 400,000円 |
1,000万円以下 | 10,000円 | 50億円超 | 600,000円 |
5,000万円 | 20,000円 | 金額の記載なし | 200円 |
たとえば、3,000万円の貸し借りをしたのであれば、20,000円×2通(貸主分・借主分)=40,000円が必要です。
また、上のひな型にあるように、消印も忘れないようにしましょう。