相続~分割決定までの不動産収入は誰のもの?

 
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相続財産の中に賃貸アパートなどの収益物件があることも多いのではないでしょうか?

亡くなるまでの不動産収入については、当然ですが、被相続人(亡くなった人)のものとして所得税を計算しますが、その後の不動産収入は誰のものとして税金を計算するのでしょうか?

その収益物件をもらう予定の人の収入として計算するのでしょうか?

 

1月1日~亡くなった日までの収支は被相続人のもの

最初に述べたように、1月1日から亡くなった日までの収支については、被相続人(亡くなった人)のものとして計算します。

これについては、亡くなった日から4か月以内に申告と納税をする必要があります(準確定申告と言います)。

 

亡くなった日~分割決定の日までの収支は相続人で按分する

相続が発生してから、遺産分割(誰がどの財産をもらうかを決めること)が決まるまでは、被相続人の全財産は、相続人全員の共有財産ということになっています。

そのため収益物件についても、亡くなってから誰が相続するか決まるまでの間の収支は、相続人全員のものとなります。

具体的には、すべての収入・経費を相続人の法定相続分で按分することになります。

相続人が妻と子ども2人なら、すべての収入・経費を妻:2分の1、子ども:各4分の1ずつに按分し、それぞれで確定申告をする必要があります(被相続人単独で所有していた場合)。

 

亡くなった日からの不動産収入を按分しなくてもいい場合とは?

遺産分割が決まるまでは、相続人それぞれで確定申告をする必要があります。

賃貸事業を引き継ぐつもりだったならまだいいですが、そのつもりがない人には一時的とは言え、とても面倒な話です。

亡くなった年中に分割が決まればまだ良いのですが、分割決定が越年してしまうと、翌年分もまた法定相続分で収支を按分する必要があり、さらに面倒です。

相続人それぞれで確定申告しなければならない事態を防ぐにはどうしたらよいでしょうか?

方法①:遺言書があること

遺言書で前もって収益物件の取得者が決まっていれば、相続が発生した瞬間からその収支は、遺言書で定められた人のものになります。

収益物件がある人は、収益物件だけでも遺言書で行き先を決めておくと親切かと思います。

方法②:収益物件だけ先に遺産分割協議をする

収益物件を引き継ぐ人の目星がある程度ついているなら、先に収益物件のみで遺産分割協議書を作るのも手です。

遺産分割協議書は、何も全財産の分け方が決まらなければ作ってはいけないというものではありません。

分け方が決まったものから順次作っていっても構いませんので、確定申告の必要がある収益物件については早めに協議書を作っておくことをおすすめします。

遺産分割協議書は「作り分け」することができる!