相続人でない人に遺言書で財産を渡すことのメリットとデメリット
まず初めに、正直に申し上げます。
ネタが尽きてきました(笑)。
特に忙しいわけでもないのですが・・・。
そんな状況ですが、仕事の中で経験したことや新しい情報などから、皆さんに有益なネタを少しずつでもお送りできればと思います。
さて、今回は遺言書の話です。
相続人となる人に財産を渡したい場合、遺言書がなくても承継してもらうことは可能です。
しかし、相続人でない人(子どもが健在である場合の孫やきょうだいなどの親戚、子どもの配偶者、友人・知人、法人など)に財産を渡したい場合は、遺言書で承継者に指定するしかありません(生前贈与という手もありますが)。
相続人でない人に遺言書で財産を渡すことのメリットとデメリットについてお話したいと思います。
目次
相続人でない人に遺言書で財産を渡すことのメリット
相続税対策になることがある
孫や子どもの配偶者に財産を渡す場合は、相続税の節税につながることがあります。
通常ですと、下記のように2度相続税がかかる可能性があります。
- 親→子どもへの相続:相続税がかかる
- 子ども→配偶者やその子ども(孫)への相続:相続税がかかる
しかし、遺言書で孫や子どもの配偶者に直接財産を渡せば、渡した財産に関しては相続税がかかるのは1回で済みます。
- 親→孫や子どもの配偶者への相続:相続税がかかる
また、将来子どもに相続が発生しても、その時の財産額が抑えられますので、将来の相続税を抑制する効果もあります。
ただし、後述するように、孫や子どもの配偶者が相続した場合には、通常かかる相続税に20%を加算する必要があります。
それを加味しても、孫や子どもの配偶者に遺言書で直接財産を渡す方が有利なら、検討してみる価値はあります。
相続人でない人に遺言書で財産を渡すことのデメリット
コストがかかる
相続人が相続するよりも、主に税金面のコストがかかります。
1つは、先ほども申し上げた通り、相続税が通常の20%増しになる点です。
相続税が20%増しになる人は、下記以外の人たちです。
- 配偶者
- 子ども(孫が養子になった場合は除きます)
- 代襲相続人である孫など(親である子どもが先に亡くなっている場合)
- 親
これら以外の人たちは通常であればもらえるはずのない財産をもらえる(=ラッキーである)ことや、孫や子どもの配偶者に財産を渡す場合は1回相続税の課税を逃れられる(=ショートカットできる)ことなどから、このような制度が設けられています。
また、不動産を相続人でない人が遺言書でもらう場合は、下記の税金が余計にかかります。
- 不動産取得税(相続人が相続する場合はかからない)
- 登録免許税(相続人が相続する場合:0.4%→相続人でない人が承継する場合:2%)
これらのコストがかかっても長い目で見れば有利な場合、これらのコストがかかってでも財産を渡したい人がいる場合には検討してみてもいいかもしれません。
相続人と揉める可能性がある
遺言書であれば、極端な話、「〇〇に全財産をゆずる」と書くことができ、実際にその通りに財産を承継させることも可能です。
しかし、相続人には「遺留分」と言って、遺言書でそのように書いてあっても侵すことのできない、最低限の取り分が存在します。
- 配偶者や子どもなど:法定相続分の2分の1
- 親が相続人となる場合:法定相続分の3分の1
この遺留分を超えて財産を渡そうとする場合は、後から相続人によって「遺留分」に不足するだけの財産の請求をされる可能性がありますので、注意が必要です。
どうしても「遺留分」を超えて財産を渡したいなら、後から相続人による請求に耐えられるように、資金の手当もしておいてあげること(生命保険の活用、流動性資産を渡す等)や、「遺留分」を請求される可能性のあることを伝えておくことなどが必要です。