配偶者の連れ子には(そのままだと)相続権がない!

厚生労働省の「平成28年度人口動態統計特殊報告」によると、「夫婦ともに再婚」「夫婦のどちらかが再婚」の割合が26.7%となっているそうです。

4組に1組が再婚カップルということになり、再婚がめずらしいものではなくなっています。

当然、カップルのどちらか(もしくは両方)に、前の配偶者とのあいだに生まれた子ども(連れ子)がいるケースも多いと思われます。

この場合、連れ子への相続はどうなるのでしょうか?

 

連れ子には相続権がない!

結論からいうと、連れ子には相続権がありません。

連れ子は、心情的には「自分の子どもだ!」と考えておられる方もいるかもしれませんが、法律的には実子ではないからです。

なにも遺してあげるつもりがないならともかく、連れ子のことを心情的に「自分の子どもだ!」と考えているなら、何か手をうっておいた方がよいかと思います。

 

連れ子に相続させたい場合の対処法

自分に万が一のことがあったら、連れ子にも財産を遺したいという場合に考えられる方法は、2つあります。

養子縁組をする

1つは、継父(母)と連れ子が養子縁組をする方法です。

法律上の親子となることで、相続権が発生します。

両者の合意があれば、届出書1枚で手続きができますので、かんたんですが、デメリットもあります。

それは、再婚カップルが離婚してしまったときです。
この場合、夫婦の関係はなくなりますが、親子の関係も自動的になくなるわけではありません。

実質的には関係が切れていたとしても、養子縁組関係が残っているかぎり、養親に万が一のことがあった場合には(元)連れ子にも相続権が発生しますので、相続がややこしくなる可能性があります(遺言書を書いて、連れ子に財産が行かないようにしても、遺留分があります)

そのため、養子縁組をするかどうかの検討は慎重にしたいものです。

相続対策で養子縁組する場合のメリットと注意点

遺言書で遺す

もう1つは、遺言書を書いて、財産を遺す方法です。

この方法なら、万が一、継父(母)と連れ子との仲がこじれ、財産を連れ子に遺したくないとなった場合でも、遺言書を書き換えることで対処が可能です。

ただし、後述するように、養子縁組をせず遺言書のみで財産を遺した場合には、税金的には不利となります。

なお、養子縁組をしたとしても、遺言書を書いておくことはおすすめです。
継父(母)となる人に実子がいる場合、遺言書がなければ、実子と連れ子養子とで遺産分割協議をしなければならず、こじれる可能性もあるからです。

 

税金的には養子縁組した方が有利

連れ子に財産を遺す場合に、税金の面から見れば、養子縁組をしたほうが有利となります。

連れ子養子の相続税が2割増にならない

養子縁組せず遺言書で財産を遺した場合は、相続税が通常の2割増しになりますが、養子縁組してしまえばそれがなくなります。

なお、連れ子養子については、基礎控除額【3,000万円+600万円×法定相続人の数】や生命保険金などの非課税枠【500万円×法定相続人の数】の計算では、実子と同じ扱いになります(養子のカウント制限の対象にはならない)

不動産相続で余計なコストがかからない

相続人が不動産を相続すれば、かかるコストは登録免許税(税率0.4%)だけですみます。

しかし、養子縁組をしていない連れ子が遺言書で不動産をもらった場合には、不動産取得税がかかる上に、登録免許税の税率が2%に上がります。

 

まとめ

連れ子に相続させたい場合や、税金上不利にならないようにしたい場合は、養子縁組することがおすすめですが、関係がこじれた場合にはややこしくなるので、慎重な判断が必要です。