預貯金の履歴からわかる財産のありか

亡くなった方の財産の有無を確認する手段の1つに、預貯金の履歴をみるという方法があります。

預貯金の入出金履歴には、財産の存在をつかむヒントが隠されていることがあります。

 

不動産

固定資産税を口座振替にしていた場合には、年に1回または4回、固定資産税の引き落としの際に、不動産のある自治体の名前が通帳に記録されます。

これを手がかりに名寄帳を請求すれば、その自治体にある被相続人名義の不動産を拾い出すことができます。

 

有価証券(株式、出資金など)・未収配当金

年に1回か2回、配当金が入金されていれば、株式や出資金(信用金庫やJA)を持っている可能性があります。

株式については、上場会社なら信託銀行に、非上場会社ならその会社に問い合わせをしてみましょう。

出資金については、信用金庫やJAから残高証明書を取り寄せる際に、「出資金」にチェックを入れることで拾い漏れがなくなります(こちらが言わなくても残高証明書にのせてくれることもありますが)

また、亡くなった後に入ってきた配当金については、その会社の決算月によっては、未収配当金という財産になる可能性があります。

 

貸付金

家族や親族でない人にお金を振り込んでいたり、その人から入金が定期的にある場合は、その人にお金を貸している可能性があります。

連絡先がわかる人であれば事実を確認し、わからなければ借用書や日記、メモなど、お金を貸したことがわかる書類がないかしらべるようにしましょう。

 

生命保険契約・小規模企業共済・経営セーフティ共済

保険料が定期的(毎月、毎年)に引きおとされていれば、保険に加入していたことがわかります。

また、亡くなる直前は保険料を支払っていなかったけれども、過去にさかのぼってみると、保険料を払い終わっている契約が見つかることもあります。

預貯金の履歴と家に残っている保険証券とを突き合わせてみて、合致しないものがあれば、保険会社に契約が残っていないか問い合わせてみましょう。

また、小規模企業共済や経営セーフティ共済の掛け金を支払っていれば、共済金や解約手当金を受けられる可能性がありますので、あわせて請求してみましょう。

 

預貯金

預貯金の履歴から、別の預貯金や現金などの存在がわかることがあります。

存在がわかっている口座間のお金の移動をしらべてみて、お金の行き先がわからない出金があれば、次のような可能性があります。

名義預金 ・出金と同じ時期に家族名義の口座にお金が入金されていて、その口座を家族が知らなければ、被相続人の財産として申告する必要があります。
手持ち現金

・亡くなる直前に引き出した現金の使途をしらべ、亡くなった日に残っていたり、亡くなった後に使ったり(病院代や葬儀代の支払いなど)していれば、手持ち現金として財産に計上する必要があります。

・病院代や葬儀代に充てている場合は、それらを債務として財産から差し引くことができます(内容によってはできないものもあります)

生前贈与 ・家族名義の口座にお金が入金されていることについて、お互いが了解しているのであれば、贈与となる可能性があります。

 

まとめ

預貯金口座には、その人の経済活動(モノやサービスの売り買い、所有、投資、金銭の貸借、贈与など)の履歴があらわれます。

そのため、相続財産の洗い出しには、預貯金履歴の確認が欠かせません。