インボイス制度にどう対応する?
昨日(3/25)ご紹介した「インボイス制度」の続きです。
実施まであと約3年半※(経過措置が無くなる完全実施までは約9年半)ほど猶予がありますが、それまでにどういう方向性でいくべきかについてお話したいと思います。
※実施当初からインボイスに対応するための申請の受付は、1年半後~3年後の間です。
目次
インボイスの発行事業者になる=消費税を納める
- 現状では消費税の納税義務が無いけれども、インボイス制度の実施に合わせて発行事業者=消費税の納税義務者になる方
- もともと消費税の納税義務者である方
が取り組むべき点は、次の通りです。
申請書を出す
まずは、申請書を税務署に提出する必要があります。
2023年10月1日からの実施に合わせてインボイスを発行できるようにするには、
2021年10月1日~2023年3月31日の間に提出する必要があります。
この期間に提出できれば、同時に納税義務者になるための届出もしたことになります。
請求書等の様式を変更する
次に、請求書や領収書の様式を変える必要があります。
変更点は次の通りです。
- 「登録番号」を記載する。
- 税率ごとの消費税額を記載する。
なお、不動産賃貸(テナントや駐車場など)の場合は、家賃をもらう度に請求書や領収書を発行することは少ないかと思います。
その場合は、「賃貸借契約書」に上記内容を記載すればよいのですが、そのために契約書の巻きなおしや変更契約書の作成が必要になります。
「簡易課税」を選択する(事業内容次第)
消費税を納めることとなった場合、【収入に含まれる消費税】ー【支出に含まれる消費税】という計算方法とは別に、もう1つの計算方法を選ぶことができます。
それが「簡易課税」です。
簡易課税は、【支出に含まれる消費税】に代えて、次の数字を使います。
【収入に含まれる消費税】×40~90%(10%刻み)
この40~90%という率は、事業の内容によって違いますし、複数の事業を営んでいる場合は事業ごとの率を組み合わせます。
消費税のかかる支出が少ない事業(不動産賃貸業やコンサル業など)を営んでいる場合は、簡易課税の方が有利な場合が多いです。
本来の計算方法と簡易課税とで予想税額を比べてみて、有利な方を選べばいいかと思います。
インボイスの発行事業者になれば、本体価格に消費税を上乗せすることができる一方、簡易課税により本来よりも多めに消費税を引ければ、むしろ手取りの収入が増える可能性もあります(きちんと上乗せできれば、の話ですが)。
簡易課税で計算したい場合は、計算を始めたい年度の前日までに届出書を税務署に提出する必要があります。
インボイスの発行事業者にならない=消費税の免税事業者のままでいるという選択肢
一方で、インボイスの発行事業者にはならず、現状のまま消費税の免税事業者のままでいるという選択肢もあるかと思います。
- 住居(アパートなど)の賃貸だけの場合→そもそも消費税のかかる収入ではないので不要
- お客さんが一般消費者メインの場合
→お客さん側で仕入税額控除がないことが多いので、あえて一般消費者にターゲットを絞るという選択肢もあり
また、上記に当てはまらなくても、値付けを工夫する(11万円や1,080円といった、消費税の上乗せを連想するような値付けは避ける)も大事かと思います。
まとめ
以前に、会社をつくるメリットの一つに「最初の2年間は消費税を納めなくてよい」という記事を書きましたが、これは、ここまで見てきたようにあと3年半でメリットではなくなります(このメリットを享受したければ、あと1年半しかない、というわけです)。
インボイス制度実施まであと3年半(申請の締め切りまでは3年)もありますが、今から意識しておいて損はないかと思います。