源泉徴収されているフリーランスが確定申告するなら気をつけるべきこと
「源泉徴収」というと、会社勤めしているサラリーマンが給料から引かれるものとイメージする人が多いのではないでしょうか?
源泉徴収される人というのはそれだけではありません。
我々税理士などの士業も受取報酬から源泉徴収がされますし、フリーランスの方でも受け取るから源泉徴収が必要な方がいます(下記は一例です)。
- デザイン料
- 原稿料
- 講演料
- 撮影モデル 等
源泉徴収された所得税というのは、いわば「仮払い」の税金なので、確定申告において正しい税額を確定させ、先に「仮払い」された税金との差額を精算する必要があります。
精算の結果、還付となるケースも多いですが、そんな源泉徴収をされる事業者の確定申告において注意すべきことについて解説したいと思います。
代金未回収の売上も計上する
源泉徴収は、代金を回収する際に行われます(総売上から源泉所得税分を控除)。
そのため、12月末時点で認識しているものの未回収の売上についても、翌年1月以降の回収時に源泉徴収が行われます。
このような売上についても、その年(今回の確定申告であれば2020年分)の売上として計上する必要があります。
上のように、【末日締め・翌月末支払い】としている場合には、2020年分の売上は、各月の締め日時点の売上の合計である240万円となります。
翌年1月末に回収される12月分の売上15万円も2020年分の売上として計上しなければなりません。
確定申告書での源泉徴収税額の書き方
このような場合には、確定申告書での源泉徴収税額の書き方に気をつける必要があります。
※説明に必要なところ以外は記載を省略しています。
48番の「源泉徴収税額」に記載する金額は、2020年分の売上として計上した240万円に対応する源泉所得税である245,040円(2020年中に源泉徴収された229,725円+2020年12月分の売上に対する源泉徴収税額15,315円)です。
第二表の「所得の内訳」で記載する金額も同様です。
しかし、この中で2020年12月分の売上に対する源泉徴収は、翌年1月末の回収時に行われていますので、その分は58番の「未納付の源泉徴収税額」に載せる必要があります。
仮に源泉徴収税額を引く前の税額がゼロだったとすると、この申告の結果、いったん還付される金額は、245,040円ではなく、2020年中に実際に源泉徴収された229,725円となります。
2020年末時点では、12月分の15,315円は源泉徴収されておらず、源泉徴収した側で納付もされていないので、返してはくれないのです。
「源泉徴収税額の納付届出書」を出せば後から返してもらえる
では、この15,315円はもう返してもらえないかというと、そうではありません。
「源泉徴収税額の納付届出書」という書類に、源泉徴収された日(=報酬を支払ってもらった日)と金額、還付先などを記載して税務署に提出すれば、還付を受けることができます。
かく言う私も、「未納付の源泉徴収税額」があり、申告をしたところ、本日このような書類が税務署から届いていました。
親切に用紙を送ってきてくれますが、e-Taxソフトで提出することも可能です。
源泉徴収が行われているフリーランスの方や士業の方には、このような還付の手段があるということを知っておいていただければ幸いです。