自宅を事務所としているなら生活費を経費にできます。ただし仕事で使った分だけ。

 
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自宅開業している人の特権(?)と言えば、生活費を事業の経費とすることができる点です。

ただし、生活費の全部を経費にしていいわけでもありません。

 

経費にしてよい生活費は、使った分だけ

自宅開業している人は、たとえば次のような生活費を事業経費にすることができます。

  • 自宅の家賃(賃貸の場合)または自宅の減価償却費(持ち家の場合)
  • 自宅の固定資産税(持ち家の場合)
  • 住宅ローンの利息(持ち家の場合)
  • 管理費や修繕積立金(自宅がマンションの場合)
  • 水道光熱費
  • 電話代
  • ネット代
  • 車の減価償却費
  • ガソリン代

ただし、かかった費用の全額を経費にしていいわけではありません。

使った分に応じてしか経費にすることができません。

それでは、「使った分」とは、具体的にどのように計算するのでしょうか?
上の例だと次のような計算の仕方があります。

項目 計算の仕方
自宅の家賃または減価償却費 ・使用している部屋の面積の割合
・使用時間・日数の割合
自宅の固定資産税
住宅ローンの利息
管理費・修繕積立金
水道光熱費
電話代 ・通話時間
・事業で使っている人数÷家族の人数
・使用時間・日数の割合
ネット代
車の減価償却費 ・事業で走った距離数÷総距離数
ガソリン代

 

使用時間・日数や通話時間、走行距離などは、いちいち記録するのも面倒かもしれません。

そういう場合は、「一定期間(1か月とか2,3か月など)だけ記録を取る」という方法があります。
記録を取ってみると事業で使っている割合が見えてきますので、その割合を使い続けるといいかと思います。

また、通信費や車であれば、事業専用の契約をするというのも1つの方法です。
事業専用であれば、全額を経費にしてもOKです。

私の場合は、事業専用にWiFiのルーターや電話番号(050plus)を契約しています。

仕事用の電話なら「050plus」がおすすめ

ほかに気をつけるべき点としては、持ち家の方が住宅ローン控除を受けている場合です。

部屋の使用割合を高ければ高いほど、事業の経費が増えますので、税金が減るように思えます。

しかし、事業での使用割合が10%を超えると、住宅ローン控除の金額に制限がかかります。
たとえば、事業での使用割合を20%としてしまうと、住宅ローン控除できる金額は、満額の80%です。

さらに、事業での使用割合が50%超なら、住宅ローン控除そのものができなくなってしまいます(そこまで経費化できるケースはまれだと思いますが)。

 

在宅勤務者向けの費用負担に関するQ&Aが公表されています

ここまでは個人事業主やフリーランス向けの話でしたが、昨今増えてきた在宅勤務者が、在宅勤務にかかった費用負担を会社にしてもらった場合の課税のルールについては明確はでありませんでした。

しかし、今年の1月15日に、この点について国税庁からFAQが公表されています。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

これまでも、通勤手当などは「非課税」(=従業員の税金計算上、給与にカウントされない)でしたが、通信費や電気代についても、「非課税」となる部分(=会社の業務のために使ったため、従業員の給与にはカウントされない)の計算の仕方が明らかになっています。