不動産を売却したら必ず確定申告しないといけない?

 
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相続106

 

前の年に不動産を売却した人には、税務署から「お尋ね」のハガキが今くらいの時期に届くことがあります。

これは、不動産の売買にともなって「所有権移転登記」をしたことにより、その情報が税務署に伝達されていることが原因です。

このハガキが届いたら、必ず確定申告をしないといけないのでしょうか?

結論から申し上げますと、

  1. 申告が必要な場合
  2. 申告が不要な場合
  3. 申告は不要だが、申告しておくと得をする場合

の3つに分類されます。

 

申告が必要な場合

申告が必要な場合とは、【売却代金ー取得費ー売却時の諸経費】がプラス(利益が出ている)の場合です。

ただし、利益が出ていれば税金を支払わなければならないかというと、必ずしもそうではありません。

  • マイホームや相続した空き家などを売却された場合
  • 収用された場合

などには、控除や繰延ができる場合があり、申告をすることでそれらを利用でき、結果的に税金がかからないことがあります(かかったとしてもかなり税額をおさえることができます)。

 

申告が不要な場合

申告が不要な場合とはその逆で、【売却代金ー取得費ー売却時の諸経費】がマイナス(損失が出ている)の場合です。

この場合は、申告をする必要はなく、返信ハガキにその旨を記載して投函すればOKです。

ただし、【売却金額<購入時の購入代金】となっていれば、かならず申告は不要になるかと言うと、そうではありません。

【売却代金】から差し引けるのは【購入時の購入代金】ではなく、【建物の経年劣化の補正(=減価償却)した後の購入代金】です。

このような補正をした場合には、【売却代金】の方が大きくなり、売却益が出る可能性がありますので、注意が必要です。

 

申告は不要だが、申告しておくと(税金面で)得をする場合

売却損が出ていれば確定申告はしなくてもよいのですが、この損失を確定申告で繰り越すことができ、その結果、税金面で得をする場合があります(売却損が出ているのだから得はしていないので、「税金面では」という注釈つきにはなりますが)。

マイホームを買い換えた場合

5年超所有しているマイホームを売却して、新しいマイホームを住宅ローンを組んで購入した場合には、旧マイホームの売却損を他の所得(給与など)と相殺することができることがあります。

相殺しても損失に余りがあるのであれば、それを翌年から3年間繰り越してさらに相殺することも可能です。

旧マイホームの住宅ローンの残債がある場合

旧マイホームを売却して住宅ローンを返済しても、まだ残債がある場合は、この残債を上限として、上と同じような形で他の所得と相殺したり、翌年以降3年間にわたって相殺することが可能です(買い換えしていなくてもOKですが、買い換えしていれば売却損と残債のどちらか少ない方になります)。

なお、どちらの制度も時限的な措置ですので、措置が将来延長されない可能性もありますのでご注意ください(いまのところは2021年末までに売却していれば使えることになっています)。