相続税申告では「債務」と「葬儀費用」をもれなく計上しましょう!

会社や個人事業主が節税のために、経費にできるものはもれなく経費として計上するのと同じように、相続税申告では「債務」や「葬儀費用」をもれなく計上することで、わずかながら相続税の節税につなげることができます。

財産額から引ける「債務」や「葬儀費用」には、どんなものがあるか、調べ方についてお話します。

 

財産額から引ける債務

財産額から引ける債務には、主に以下のようなものがあります。

項目 調べ方 備考
借入金(金融機関) 金融機関に残高証明書を取り寄せ 団体信用生命保険で返済される住宅ローンなどは除きます。
税金(所得税、住民税、事業税、固定資産税、自動車税・軽自動車税) 所得税:準確定申告で計算します。
その他:納税通知書から、亡くなった時点での要支払額を確認
その他:納税通知書などが無ければ、市役所などで亡くなった時点の要支払額を確認することができます。
社会保険料(健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料など)

会社勤めしていた場合:健康保険の運営団体に確認

それ以外の場合:自治体から届く還付通知書で確認

 
賃貸不動産の敷金・保証金 賃貸借契約書で確認

「敷引き」(「敷金や保証金の〇%は返金しない」というものです)部分は財産額から引けません。

契約書が見当たらなければ、取引のある不動産仲介業者に聞けば控えが見つかるかもしれません。

病院代、介護費用 領収書 締め日:亡くなるまで
支払日:亡くなった後
のものに限ります。
水道光熱費 通帳、領収書など 同上
通信費(電話、ネット代など) 通帳、領収書など 同上

 

預金通帳については、凍結されなければ、亡くなった後も記帳することができます。

亡くなった後の預金の記録から、控除できるものがあるかもしれませんので、注意深く見てみましょう。

 

財産額から引ける葬儀費用

財産額から引ける葬儀費用には、主に次のようなものがあります。
基本的には、「通夜」と「告別式(本葬)」でかかった費用だけが控除の対象になり、初七日以降の経費は控除の対象になりません(仏式の場合)。

項目 調べ方 備考
葬儀代金 領収書、請求書、明細書など 初七日関係の費用が混じっていることがあり、明細書からそれが分かる場合は除外する必要があります。
火葬料 領収書、自治体のHPなど 領収書などが残っていなければ、自治体のHPなどで確認できます。
食事代 領収書、請求書など コンビニやスーパーなどで買ってきたものや飲食店で食べたものであっても、告別式までに食べたものであれば、控除の対象になります。
お布施・戒名料・読経料(仏式)、献金(キリスト教式)、玉串料(神式)など 領収書、メモなど 領収書をもらえないことが多いので、支払先・金額などをメモしておくと良いです。
葬儀を手伝ってもらった人への心づけ 領収書、メモなど 同上
会葬御礼費用 領収書、請求書など  
納骨費用 領収書、請求書など  
遺体の捜索・運搬費 領収書など  

 

債務や葬儀費用については、会社などと違い、一定期間保管しておかなければ経費にならない、というルールもありません。

そのため、メモや小遣い帳などに記録しておいたものでも、財産額からの控除は可能です。
(証拠資料があるに越したことはありませんが)

 

まとめ

葬儀の前後は、かなりバタバタしていて、相続税のことまで考える余裕はないかもしれません。

しかし、もらった領収書などの資料は、捨てずに取っておくと、あとで役に立つことがあります。

また、メモや小遣い帳などに付けておくこともおすすめです。