所得控除は漏れなくやっておいた方が住民税もお得になる、というお話
確定申告にはまだ早いですが、年末調整の時期がそろそろ近づいてきたので、それに関する話題を。
住宅ローン控除で所得税はゼロになることがあるが、住民税はゼロにならない!
住宅ローンを組んで自宅を購入した場合には、購入した年から13年間(去年9月以前に購入した場合は10年間)、【住宅ローン控除】を受けることができます。
控除してもらえる額は、以下の金額です(上限40万円)。
- 最初の10年間:年末のローン残高×1%
- 11~13年目:【年末のローン残高×1%】と【税抜き購入金額×2%÷3】のどちらか少ない方
いずれにしても、所得税がかなり減税されることになり、控除額の方が大きければ所得税の納税額がゼロになることもあります。
もし控除額の方が大きい場合には、引ききれなかった金額を住民税から差し引くことができます。
(次のいずれか少ない金額で、消費税が8%になってから新築されたものを購入した場合です。)
- 所得税の計算で引ききれなかった金額
- 所得税の合計課税所得金額(税率をかける前の金額)×7%(上限136,500円)
ですが、住民税は所得税と違い、どう計算しても住民税<控除額にはなりません。
そのため、住宅ローン控除を受けていても、住民税はいくらか発生してしまいます(ある程度安くはなりますが)。
なお、住民税から差し引けるのは、所得税の計算で住宅ローン控除額を引ききれなかった場合なので、引き切れた場合は、住宅ローンに関しては何も控除はありません。
だから所得控除は漏れなくやっておきましょうー住民税にも影響します!
何が言いたいのかというと、
- 所得税の計算(確定申告や年末調整)で住宅ローン控除をすると税金がゼロになる(またはかなり安くなる)
- だから所得控除(生命保険料控除や医療費控除など)は、めんどくさいからやらない。
(年末調整で控除証明書などを出さない)
という方が見受けられるのですが、上述したように住民税は住宅ローン控除があっても必ず発生します。
だから、所得税の納税がある・なしに関わらず、所得控除は漏れなくやっておくことをおすすめします。
住民税における所得控除は以下の表のようになっています。
所得税と同額のものもあれば、所得税より控除額が少ないものもありますが、いずれにしても所得控除できるものはきっちり入れておけば、払わなくていい税金を支払わなくて済みます。
控除の種類 | 所得税 | 住民税 |
社会保険料 | 全額 | 全額 |
小規模企業共済等掛金 | 全額 | 全額 |
生命保険料 | 最大12万円 | 最大7万円 |
地震保険料 | 最大5万円 | 最大2.5万円(所得税の半分) |
寡婦(夫) | 最大35万円 | 最大30万円 |
障害者 | 最大75万円 | 最大53万円 |
配偶者(特別) ※70歳未満の場合 |
最大38万円 | 最大33万円 |
扶養 | 年齢によって1人38~63万円 | 年齢によって1人33~45万円 |
基礎 | 最大48万円 | 最大43万円 |
雑損 | 【損失額-保険金で補てんされる金額-総所得金額等の10%】と【災害に関連して支出した費用-5万円】の少ない方 | 所得税の場合と同額 |
医療費 | 医療費-(【総所得金額等の5%】と【10万円】の少ない方)(上限200万円) | 所得税の場合と同額 |
寄附金 | (【寄附金額】と【総所得金額等の40%】の少ない方)-2,000円 | なし(住民税から直接差し引きます) |