信用保証料の経理のしかたー借りる時・決算時・借り換えした時

金融機関で借り入れをするときは、担保や連帯保証人が必要になることがあります。

しかしそれが用意できない場合(用意できても不十分な場合)は、各都道府県の「信用保証協会」という機関に信用保証をしてもらうことで借り入れが可能になることがあります。

この信用保証協会は、万が一借り入れした企業が返済できなくなったら、代わりに借入金を返済してくれます(その後、信用保証協会から企業に対して取り立てが行われますが)。

その信用保証の対価として、借り入れする企業は信用保証協会に対して【信用保証料】を支払います。

借入期間が5年なら5年分、10年なら10年分の信用保証料を、借入時に一括で支払います。

この信用保証料の、【借りる時】【決算時】【借り換えした時】の3つの場面での経理のしかたについてお話したいと思います。

 

借りた時の経理処理

信用保証協会による保証付きで金融機関からお金を借り入れする際には、借入期間分の信用保証料を一括で支払います。

しかし、これを支払った時の経費にしてはいけません。

借入期間(5年、7年、10年など)にわたって信用保証を受けられるので、その期間で均等に経費にする必要があります。

そのため、最初は次のように経理処理します。

借方 金額 貸方 金額 摘要
長期前払費用 1,000,000 普通預金   1,000,000 ○○信用保証協会 信用保証料

 

決算時の処理

決算時には、その年度に対応する分だけを、長期前払費用から経費に振り替える必要があります。

たとえば、信用保証料1,000,000円・借入期間5年の場合は、次のように処理します(年度始めに借入した場合)。

借方 金額 貸方 金額 摘要
支払利息 200,000 長期前払費用 200,000 信用保証料償却

 

支払利息のところは、【支払手数料】や【長期前払費用償却】などでもOKです。

 

借り換え時の処理

そのまま順調に完済した場合は、【長期前払費用】もゼロになります。

しかし、途中で借り換えし、新たな借入金でも信用保証がついている場合は、少し処理がややこしいです。

借り換えでは、新借入金の一部を旧借入金の繰り上げ返済に充てますが、繰り上げ返済すると信用保証料が戻ってきます。

借り換えを伴わない繰り上げ返済なら、戻ってきた信用保証料が会社の口座に入って終わりです。

下の例は、半分まで返済した段階で繰り上げ返済した場合です。【長期前払費用】も半分に減っていますが、返金される金額はそれよりも少なくなります。

借方 金額 貸方 金額 摘要
普通預金 400,000 長期前払費用 500,000 ○○信用保証協会 信用保証料返金
雑損失 100,000     ○○信用保証協会 信用保証料返金 返金差損

 

しかし、借り換えを伴い、新借入金でも信用保証がつく場合は、この信用保証料の返金額が会社の口座には入らず、新借入金の信用保証料に充当されます。

それでも足りない場合は、不足分を支払う必要があります。

たとえば、借り換えによって次のような信用保証料のやり取りをした場合は、経理処理は下記の通りとなります。

新借入金の信用保証料   :1,200,000円
旧借入金の信用保証料の戻り:▲400,000円
正味の支払額       :  800,000円
旧借入金の信用保証料残高 :  500,000円(【長期前払費用償却】に計上中)

借方 金額 貸方 金額 摘要
長期前払費用 1,200,000 長期前払費用 500,000 ○○信用保証協会 信用保証料 借り換え
雑損失 100,000 普通預金 800,000 ○○信用保証協会 信用保証料返金 返金差損

 

借り換え後は、【1,200,000円】をベースに、借入期間にわたって経費化していきます。

正味の支払額800,000円を【長期前払費用】に計上したり、【800,000円】をベースに経費化したりしないように注意してください。

 

信用保証料の補給を受けた時の処理

コロナ対応で、国が信用保証料を負担(補給)してもらえることがあります。

そのときは、信用保証料に関してはお金が動くことはありませんが、経理処理が必要になります。

たとえば、信用保証料2,000,000円を国が負担してくれた場合は、次のような処理になります。

借方 金額 貸方 金額 摘要
長期前払費用 2,000,000 雑収入   2,000,000 経済産業省 信用保証料補給

 

この【長期前払費用2,000,000円】は、通常の借入と同じように、借入期間にわたって経費化していきます。

 

補足

なお、いずれの処理についても、消費税はかかりません。