遺言書の内容には必ず従わないといけない?

遺言書を書いておけば、死後において意思表示(財産をどう分けてほしいか)をすることができます。

しかし、財産をもらう側(相続人や受遺者)は、自分の意思に反して、遺言書の内容に従わないといけないのでしょうか?

 

全員の合意があれば、違う分け方でもOK

結論から言うと、相続人および利害関係者(受遺者や遺言執行者など)全員が承諾すれば、遺言書通りに分ける必要はありません。

そうなった場合は、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)をし、財産の分け方を決めることになります。

遺言書と違う分け方でもOKです。

受遺者が遺贈(遺言書で財産をもらうこと)を放棄したいのであれば、一定の手続きを踏む必要がありますが、相続人の場合は、遺産分割協議書を作る以外は、特に手続きをする必要はありません。

(詳しくは下記記事をご参照ください。)

相続したくない時はどうしたらいい?

 

遺言書の内容に不満な場合は・・・

遺言書通りに分けないことに関係者全員が一致した場合は上の通りですが、逆に1人でも遺言書通りに分けることに賛成であれば、その通りに分ける必要があります。

そのため、特定の相続人だけもらえる額が少なくて不満な場合でも、とりあえずその通りに分けなければなりません。

しかし、こういう場合は、その後、最低限の取り分=遺留分に足りない額だけを他の相続人から請求することが可能です。

  • 請求できる額:法定相続分×2分の1(配偶者、子どもなど)または3分の1(両親など)
  • 請求期限:遺留分が侵害されていることが分かってから1年以内または相続から10年以内
  • きょうだいや甥姪には遺留分なし

逆に言うと、遺言書を書く側(財産を遺す側)としては、あとで遺留分をめぐって相続人同士が争う可能性を踏まえて財産の配分を考えた方がいいです。

そのため、遺言書を書く前に、財産のたな卸しと評価をしておくと、配分の検討や遺留分の計算がしやすくなります。