被災したら取っておきたい「罹災(りさい)証明書」など(税優遇が受けられます)
近年、毎年のように豪雨や台風、地震などの災害が相次いでいます。
私が住んでいる地域(大阪)も、一昨年(2018年)に大阪北部地震と大型台風の被害に見舞われました。
災害で住宅や家財に被害を受けた場合には、確定申告の際に税制上の優遇を受けることができます。
(賃貸の場合でも、家財だけは受けられます。)
そのために事前にやっておくべきこととして、「罹災(りさい)証明書の取得」などがあります。
災害で住宅や家財に被害を受けた場合の優遇措置
所得税の確定申告においては、主に2つの措置が優遇措置が取られています。
該当さえすれば、どちらか好きな方を選べます。
- 所得税の減免
- 雑損(ざっそん)控除
所得税の減免
言葉の通り、所得税の減免を受けることができます。
被害を受けた年の所得金額が1,000万円以下であることが条件ですが、「半壊」以上であれば、所得金額に応じて【4分の1】【2分の1】【全額】のいずれかの割合の減免を受けることができます。
雑損控除
損害額や原状回復費用など(少し調整があります)を所得金額から控除できる制度です。
損害額は次のように計算します。
(【住宅や家財を購入した時の金額】ー【減価償却費の累計額】)×【被害の程度に応じた割合】
このうち、【住宅や家財を購入した時の金額】が分からなければ(特に家財などは分からないことが多いかと思います)、国税庁が公表する割合や金額で見積計算をします。
- 住宅・・・地域や構造に応じた1㎡当たりの単価
- 家財・・・家族構成や世帯主の年齢
なお、事業で使っている財産に被害があった場合は、この雑損控除ではなく、被害額を事業の経費とする必要があります。
計算については、災害の都度、国税庁が計算シートを公表しており、これを使って被害額などを計算します。
どちらが有利?
どちらか1つしか使えませんので、有利な方を選びたいところです。
【所得税の減免】の方は、税額から控除(1/4~1/1)できるのでインパクトは大きいのですが、被害を受けた年しか使えず、半壊以上でないといけないのでハードルが高いです。
【雑損控除】は、所得からの控除なので、正確には「雑損控除額×税率」分の減免効果しかないのですが、所得から引ききれないほどの損害があった場合は、翌年以降3年間繰り越せるというメリットもあります。
被災したら取っておきたい「罹災証明書」など
被災直後は避難生活や後片付けなどで、税金のことなんか考えてる場合じゃない、と思われるかもしれません(その通りなのですが)。
しかし、少し落ち着かれたら、「罹災証明書」を早めに取ることをおすすめします。
上の税制上の優遇について言えば、罹災証明書に書かれている被害の程度(全壊、半壊、一部損壊、床上浸水、床下浸水など)が損害の計算などの際に必要になってきます。
また、保険金の請求の際にも必要になることが多いです。
自治体や災害の規模にもよりますが、罹災証明書の申請には期限があることが多いのです。
確定申告の時期に慌てて取りにいっても、発行してくれないこともありますので、罹災の早い段階で罹災証明書を取得することをおすすめします。
その他に取っておくといいものを列挙してみます。
- 被害を受けた財産や現場の写真
・・・罹災証明書の発行や保険金請求で必要になることがあります。
安全を確保できたら、スマホで撮っておくと後々役に立ちます。 - 後片付けや原状回復工事などの費用の領収書や請求書など
・・・雑損控除の計算の根拠になりますし、申告書に添付する必要もあります。 - 住宅や金額の大きい家財などを購入した時の資料(売買契約書、領収書など)
・・・被害額の計算に役立ちます。
災害で消失してしまった時に備え、スキャンしてクラウド上に保存しておくと便利です。
まとめ
こんな手続き、しなくて済めばそれに越したことはありません。
しかし、災害への備えの一つとして、こんな手続きがあるんだ、ということを頭の片隅に置いといてもらえれば幸いです。