赤字でも確定申告をしよう
1月6日から、令和元年分の確定申告の電子申告の受付が始まっています。
創業したての方の中には、初期費用ばかりかかり、収入はまだそんなに無く、赤字という方もいらっしゃるのではないかと思います。
「赤字なら確定申告しなくてもいいんじゃないの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
確定申告が不要な人
事業をしていても、次にあてはまる人は、確定申告をする必要がありません。
所得金額(給料や年金、事業の利益など)<所得控除額(医療費控除や生命保険料控除など)となる人
又は
所得税額≦住宅ローン控除などの金額 となる人
他にも、自身の事業以外に、他で働いていて給料をもらっている場合は、副業の利益が20万円以下である場合なども、確定申告の必要がありません。
なので、事業が赤字なら、基本的に確定申告の必要は無いのですが、
- 赤字だからといって確定申告をしないことのデメリット
- 赤字だからこそ確定申告をするメリット
があります。
「所得証明がない」というデメリット
金融機関からお金を借りたり、子どもを保育園に入れたりするときに、よく求められる「所得証明」。
特に事業融資を受けたい場合には、「所得証明」として、過去数年分の確定申告書を求められることがあります。
赤字だからといって申告をしなかった年があると、無申告だからということで、融資を断られる要因になります。
税金・健康保険料が安くなるというメリット
赤字でも、確定申告をすることで、税金や健康保険料の面で得をすることもあります。
所得税
年の途中までサラリーマンをしていて、その後独立開業した場合、サラリーマン時代の給与所得と事業での赤字を相殺させることができます。
相殺により、サラリーマン時代の給与から天引きされていた源泉所得税の還付を受けることができます。
また、青色申告をしている場合には、他の所得と相殺しきれない赤字を翌年から最大3年間繰り越すことができます。
これによって、翌年以降の所得税も安くすることができます。
住民税
住民税は、その年の所得をもとに計算され、翌年の6月頃に納税通知書が届きます。個人事業主の方であれば、これを年4回に分けて納付する必要があります。
年の途中までサラリーマンをしていて、その後独立開業した場合、確定申告をしていなければ、サラリーマン時代の収入をベースに住民税が計算されるので、今は赤字なのに高い住民税を払わないといけないということになりかねません。
所得税の確定申告をすると、そのデータはお住まいの自治体にも伝達され、住民税が計算されます。
確定申告で給与所得と事業の赤字を相殺させることで、翌年に支払うべき住民税を安くすることができます。
また、給与所得等がなく、事業の赤字のみという場合は、所得税の確定申告はせず、住民税の申告だけを市町村に対して行うという方法もあります。
また、所得税と同じく、青色申告をしている場合は、損失を翌年以降最大3年間繰り越すことで、翌年以降の住民税も安くすることができます。
国民健康保険料
自治体の国民健康保険に加入する場合は、その健康保険料は、前年の所得に基づいて計算されます。
住民税と同じ理由で、確定申告をしていなければ、高めの健康保険料を支払うはめになりかねません。
また、無収入や低収入の場合は、健康保険料の軽減措置を受けることができますが、それには、所得税か住民税の申告をしている必要があります。
まとめ
税金や証明手段などの面から確定申告をする意義をお話しましたが、赤字になった理由の把握や経理をする習慣を身に着けるため等にも、赤字でも申告はするようにしましょう。