経費を1年分前払いすると節税になりますーただし最初の年だけ
毎月支払いをしている経費を1年分前払いすることによる節税についてご紹介します。
ただし、いくつか注意すべき点がありますが・・・。
1年以内の経費を前払いすれば、全額を経費にできる
通常、翌年(翌期)以降にモノを受け取ったり、サービスを受けたりする経費は、今年(今期)に支払ったとしても、それを経費にすることはできません。
会計上は【前渡金】や【前払費用】という科目として処理し、翌年(翌期)以降に経費とする必要があります。
しかし、次の2つの条件を満たせば、1年分前払いした経費全額を支払った年の経費にすることができます。
- 支払ってから1年以内にサービスを受ける。
- 今後は毎年1年分を前払いする。
この「サービス」には、例えば次のようなものが該当します。
- 家賃、駐車場代など
- 保険料、共済の掛け金
- 雑誌などの購読料
経費になる「1年分前払い」、経費にならない「1年分前払い」は以下の通りです。
上の図のように、支払対象期間が、支払った日から1年以内であれば経費にすることが可能です。
このように、支払対象期間が支払った日から1年を超えている場合は、経費にすることができません。
(この例なら、3/1~翌2/28の期間分の支払いであれば、全額を経費にすることができます。)
なお、数年分(2,3年分など)前払いについては、一括で経費にすることはできません。
(自賠責保険料のように、加入することが法律で義務付けられているものについては、複数年分を一括で経費にすることができます。)
期末まで月払いを続けていて、期末に翌年1年分を前払いすれば、合計24か月分を今期の経費にすることも可能です。
3つの落とし穴に注意
この方法は節税にはなるのですが、3つ注意すべき点があります。
節税になるのは最初の年だけ
この方法を最初に使った年だけは、【それまでの月払い額】+【1年分の前払い額】だけ経費にすることができます(最大24か月分)。
しかし、翌年からは経費にできる額が1年分だけに戻り、節税効果は得られなくなります。
毎年継続しないといけない
1年分前払いを全額経費にできる条件の1つに、この方法を毎年継続することがあります。
今年は利益が多くなりそうだから1年分前払い、翌年は利益が出ないから月払いに戻す、といった場合には、一括で経費にすることができません。
資金繰りを圧迫する
月払いにできる(=支払いを先延ばしにできる)ものをわざわざ1年分先払いするので、節税効果を考慮しても資金繰りを圧迫することになります。
まとめ
経費を1年分前払いする方法は、最初の年は「節税効果だけ」はあります。
しかし、ご紹介した3つの注意点を踏まえた上でこの方法を使われることを強くおすすめします。
少額の支払いでこの方法を使うのはおすすめです(資金繰りへの影響が少なく、手間の削減につながるため)。