副業を本業の勤務先に「バレない」ようにすることは可能なのか?

近年、副業が解禁あるいは推奨されている会社が少しずつ増えてきています。
2018年1月には政府が「モデル就業規則」を改訂し、副業禁止の規定を削除したものを
公表しています。

しかし、実際には現在でも副業を認めていない会社が数多くあります。

本業の勤め先に副業をしていることが「バレない」ようにすることは可能なのでしょうか?
※この記事は勤め先の決まりに反して、内緒で副業することを推奨するものではありません。
 また、副業している姿を見られないようにする方法などは書いていません。

 

住民税から「バレる」パターン

勤め先に副業していることが「バレて」しまうパターンとして多いのが、「住民税」です。

1つの会社に勤めているだけであれば、「年末調整」によって会社が税金計算をしてくれるので、
確定申告は必要ありません。

しかし副業をしている場合には、本業と副業を合算して、確定申告をし、その年分の所得と
税金を自分で計算する必要があります。

この確定申告で計算されるのは「所得税」だけですが、この情報が申告をした人の自治体
に転送され、自治体はその人の「住民税」を計算します。

そして5月頃に、本業の勤め先へこんな通知が届きます。

これは、従業員の給料から天引きすべき住民税額の通知です。
ここに記載されているのは住民税額だけなので、その人の正確な所得金額は分かりません。

しかし、会社はその人が本業の会社でいくら給料をもらっているかは分かっています。
その給料の割に住民税が高かったら、副業をしているのではないかと疑われる可能性があります。

※もちろん、こんなパターンもありますので、住民税が高かったら必ず副業をしているということ
 にはなりません。

  • 親から相続した賃貸用不動産で、引き続き家賃収入を得ている。
  • 不動産を売却して、売却益を得た。
  • 生命保険の満期保険金や解約返戻金によって運用益が出た。

ちなみに、この通知は会社用ですが、従業員への配布用としてこんな通知も同封されています。

1枚目の赤枠のところを剥がすと、住民税の計算根拠(各種所得金額や住民税の計算過程)が
書いてあります。

この中に、【給与収入】・【給与所得】と【その他の所得計】の金額が書いてあり、
【その他の所得計】に含まれている所得の種類が横に記されています。
(大阪市の場合)

「事業主(会社)は、剥がさずに従業員の方にお渡しください」と書いているので、
剥がさずに渡してくれる会社が多いとは思いますが、万が一剥がされてしまうと、
こんなことが分かります。

  • 給与収入が勤務先が支給しているよりも多い場合→副業でアルバイトをしていることが分かります。
  • 【その他の所得計】に金額が入っており、【営業等】(事業所得のこと)や【雑】(雑所得のこと)にアスタリスク(*マーク)が入っている場合
    →副業で商売をしていることが分かります。

 

「バレない」ようにすることは可能か?

では、勤務先に副業をしていることが「バレない」ようにすることは可能なのでしょうか?

副業の種類によって、次のように変わります。
※各従業員に配布される「通知書」を剥がされると分かって、どちらにしても分かってはしまいますが・・・

 

副業で事業をしている場合

個人事業主やフリーランスとして収入を得ている場合は、確定申告書の書き方を工夫する
ことで、副業をしていることが本業の勤め先に分からなくすることができます。

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確定申告書の2枚目(第2表)の右下、「住民税・事業税に関する事項」のところに、〇を
つける欄があります。

これは、給与や年金以外の所得に対する住民税をどうやって支払うか
(給与などから天引きor自分で納めに行く)を選ぶ欄です。

ここで、「自分で納付」に〇をつけることで、

  • 給与に対する住民税→会社に通知
  • 事業に対する住民税→本人(自宅)に通知

されることになります(それぞれの税額は自治体が按分計算してくれます)。

こうすれば、少なくとも会社への通知書上は、副業をしているかどうかが分からなく
なります。

 

副業でアルバイトをしている場合

副業でアルバイトをしていて、副業の勤め先からも給料をもらっている場合は、
そうもいかない場合があります。

その理由は、副業の勤め先が毎年1月に前年1年間に各従業員に支払った給料を、各従業員が
住む各自治体に報告しているためです。

取り扱いは自治体によって異なり、副業に対する住民税を上と同じように自分で納付する
ように出来る場合もありますが、本業に対する住民税と合わせて、本業の給与から天引き
するように、本業の勤め先に通知する場合もあります。

 

20万円以下なら申告しないという選択肢も

事業の利益が20万円以下、あるいはアルバイト代が20万円以下なら、確定申告をしなくてもよい
というルールがありますので、そもそも確定申告をしない、という選択肢もあります。
(事業もやっていて、アルバイトもやっているという場合は、それらを合わせて20万円以下)