不動産の相続登記、金融資産の名義変更、相続税申告など、どのような相続手続きにおいても必要になってくるのが戸籍です。
「本籍地のある市町村≠住所のある市町村」という方は、本籍地のある市町村に出向くか郵便を使うかして、戸籍を取り寄せる必要があり、戸籍収集はとても面倒な作業でした。
しかし、2024年3月1日から「広域交付制度」というものが始まり、本籍地以外の市区町村(例えば住所のある市町村など)でも全国の戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)を請求できるようになりました。
原則、本人や相続人などが対象となりますが、この制度により以前に比べると戸籍収集の手間がだいぶ減ることになりました。
ただ、それでも役所に出向く必要はあります。
戸籍の収集が難しい、手間だという方については、我々士業に収集の代行をご依頼いただくことも可能ですが、「自分で収集する」方法と「専門家に収集を代行してもらう」方法とでは、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
1.相続人自らが「広域交付制度」を利用して戸籍を集める方法
⭕️メリット
①手数料が抑えられる。
- 士業者に依頼しない分、報酬が不要。
- 全国の役所を回ったり、郵送請求をしなくて良い分、交通費や郵便代などが不要。
②スピード感がある。
- 自分で動けば即日発行されることもある。
- 1か所の役所(住所のある市役所・町村役場など)で一括請求可能。
また広域交付制度からは話がずれますが、相続人自身の現在戸籍については、マイナンバーカードを持っていれば、コンビニで取得することも可能です。
✖️デメリット
①手続きが煩雑
- 戸籍収集や相続手続きを仕事としていない方にとっては、役所で請求用紙を書いたり、必要とする書類を請求したりするのは、やはりハードルが高いと思われます。
②窓口対応の時間が限られる。
- 平日の日中に役所へ出向く必要があり、仕事などとの調整が必要となります。
- 役所で順番待ちをしなければならないこともあります。
2.士業などの専門家に戸籍収集を代行してもらう方法
⭕️メリット
①確実かつ効率的
- 専門家が必要な範囲を正確に判断して収集してくれるため、漏れやミスが少なくなります。
②手間が省ける
- 相続人が役所に出向く必要がありません。
③相続手続全体の支援も受けられる
- 戸籍収集だけでなく、その後の遺産分割協議書作成(依頼内容により、行政書士、税理士、司法書士のいずれかが対応)や相続登記(司法書士が対応)なども一括でサポートしてくれるところもあります。
✖️デメリット
①費用がかかる
- 専門家に依頼しますので、報酬が必要となってきます。
- 専門家に依頼する場合は、広域交付制度が利用できませんので、遠方の役所への取り寄せの際の旅費や郵送代が余分にかかります。
②期間がやや長くなる
- 複数の役所に戸籍の発行依頼をかけますので、依頼から収集完了までに数週間〜1ヶ月程度かかるケースがあります。
3.どちらを選ぶべき?
①相続人自らが「広域交付制度」を利用して戸籍を集める方法をおすすめするケース
- 費用を抑えたい。
- 戸籍収集に時間を割ける。
- 複シンプルな家族構成(配偶者と子供が相続人になるパターン)である。
- 役所での手続きに慣れている。
②士業などの専門家に戸籍収集を代行してもらう方法をおすすめするケース
- 時間や手間をかけたくない。窓口に出向けない事情がある。
- 相続関係が複雑(兄弟姉妹や甥・姪が相続人となっている、再婚歴があるなど)である。

