遺言書には財産をどのように書けばいいのか?

 
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相続106

 

久しぶりに遺言書のネタを。

遺言書には、「この不動産は長男の○○に相続させる」「この預貯金は長女の△△に相続させる」といった具合に、ある程度財産を特定し、その財産を誰に引き継いでもらうかを書くのが一般的です。

このような「財産の特定」はどこまでやればいいのでしょうか?

 

ある程度特定した方が親切だけれど、ざっくりでいい

結論から言うと、表題の通りです。

 「全ての財産を○○に相続させる」

という一文だけでも遺言書としては有効ですし(もちろん、日付や署名なども必要ですが)、今すぐ遺言書を遺さなければならないような差し迫った状況ならこの書き方もアリだと思います。

しかし、遺言書の内容をじっくりと練る余裕があるなら、財産の内訳をもうちょっと詳細に書いてあげるのが、遺される家族に対して親切であるとも考えます。

その方が、家族はどこにどのような財産があるかを探す手間が省けますし、財産の取りこぼしも防げるからです。

たとえば、預貯金や株式であれば、次のように書くのがちょうどいいかと思います。

 第○条 遺言者は、次の財産を長男○○(昭和■年■月■日生まれ)に相続させる。

  1.ABC銀行EFG支店に存する全ての預金債権

  2.XYZ農業協同組合に存する全ての貯金債権

  3.abc証券株式会社efg支店に存する全ての有価証券及び金銭

この書き方なら、どこの金融機関・支店に話をしに行けばいいかが分かりやすいです。

ここから、さらに口座番号などを書いても構わないのですが、そこまでするのは煩雑ですし、定期預金なら満期振替で口座そのものがなくなったり、口座番号が変わったりする可能性があるので、そこまではしなくてもよいとも考えます。

「どこに何があるか」がざっくりと分かればいいです。

 

土地については地番を特定しましょう

ただし土地については、「地番」を特定した方がいいです。

なぜなら、「1筆の土地の上に1つの建物しか建っていない」とは限らないからです。

たとえば、1筆の上に建物が2つ以上建っていることもあれば、

2つ以上の筆の土地の上に1つの建物しか建っていない場合もあります。

後者だけなら、「自宅は長男の○○に」といった表現でも比較的特定はしやすいのですが、

前者のように1つの筆の上に自宅と貸アパートが建っていて、「自宅は長男に」「アパートは長女に」という指定の仕方だと、「○○1丁目1番1」の土地はどこまでを長男が取得して、どこからを長女が取得すればよいか分かりにくいです(建物は独立したもの同士ならまだ特定はしやすいのですが)。

そうならないよう、特に土地に関しては地番をはっきりと書いてあげた方がいいです(上のような土地なら、事前にお金をかけてでも分筆するのも1つの手です)。