株取引やFX取引をしている人が会社を設立するメリット・デメリット

 
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株取引やFX取引などをしている個人投資家の方から法人設立についてご質問を頂戴することが時々あります。

私自身は投資はほとんどしない(投資と言えるレベルではないかもしれませんが、iDeCoとLINEでちょっとした積立投資をやっているくらいです)のですが、個人投資家が法人設立をすることのメリット・デメリットについてはお話できます。

 

個人投資家が法人設立することのメリット

最大10年間にわたって赤字を繰り越せる

一番のメリットと言ってもよいかもしれないのが、赤字を最大10年間にわたって繰り越せる点です。

個人の場合では、赤字が出た年の翌年から3年間しか繰り越せません。
赤字を使いきれないまま、期限の3年目を終える、という方も確定申告の時期にはよくお見かけします。

法人であれば、7年ものアドバンテージがあり、その点は魅力だと言えます。

他の所得の損益と通算できる

株取引で出た赤字については、株取引の収益(売却益や配当金)同士でしか相殺ができません。

またFX取引で出た赤字についても、ほかのFX取引での利益としか相殺ができません。

ほかで所得が出ていたとしても(給与や事業など)、相殺はできないのが決まりです。
逆に事業で赤字が出ていたとしても、株取引やFX取引での黒字との相殺も同様にできません。

その点法人の場合は、その法人で出たすべての収益・費用を集計しますので、株取引やFX取引で出た黒字や赤字を、他の事業での赤字や黒字と通算させることが可能です。

色んなものが経費化しやすい

株取引の場合は、証券会社などに支払う手数料や株取引のために借りたお金の利息くらいしか経費にすることができません。

また、FX取引の場合も、手数料などの他は、FXに関連してかかった費用(通信費、機器類、新聞図書費、事務用品、家賃など)しか経費にできません。

それもすべての項目が全額経費として認められるわけではなく、家事費と按分しなければならない場合もあります。

会社の場合は、個人と比べると経費化が比較的容易です。

また、会社の代表者やその家族役員への給与(役員報酬)も経費にすることができますので、個人で取引するのに比べて税金のかかる部分(利益)を大きく圧縮することが可能です。

 

個人投資家が法人設立することのデメリット

必ず申告しなければならない

個人の場合は、株取引については利益や配当があれば、事前に税金を引かれていることも多く、その場合はあらためて申告をする必要はありません(株の売却益について税金が引かれていない場合はしなければなりませんし、申告をした方が有利になるケースもありますが)。

また、株取引もFX取引も、利益が一定の金額以下なら申告が不要です。

しかし、会社の場合は、金額がいくらであろうと必ず毎年1回申告をしなければなりません。

個人の確定申告に比べると、会社の申告は作らなければならない書類が多く、申告書の書き方もややこしいです。

税率が高くなるケースもある

個人の場合は、株取引やFX取引については、税率20.315%(所得税15.315%・住民税5%)で固定されており、また、それ以外に事業などで利益があれば、株などとは別枠で税率が設定されています(株などの利益を合算した上で税率が設定されることはありません)。

しかし会社の場合は、事業も株もFXも、すべての利益を合算した上で税率が決まります。

この利益金額が多額になると、30%程度かかることもあり、そうなると会社の方が不利となります。

事業税がかかる

会社の場合は、個人で株取引やFX取引をやっていればかからなかった税金がかかります。

それが「事業税」です。

個人の場合は、事業や不動産賃貸などをしていなければかかりませんが、会社の場合は、事業の内容に関係なく、利益が出ていればかかります(一定の控除は存在します)。