贈与税申告では戸籍などが必要になることが多いので、早めにとりよせておきましょう!
この時期は、所得税の確定申告だけでなく、贈与税申告の時期でもあります。
通常であれば2月1日から受付が開始され、3月15日までに提出する必要があります。
確定申告とは違い、贈与税申告では普段ふれることの少ない「戸籍」などの書類が必要になる場面が多いです。
目次
戸籍などが必要になる場合とは?
特例税率をはじめて使う場合
通常、贈与税の税率は次のように決まっています。
110万円控除後の 金額 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | 0 |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
しかし、【両親や祖父母】から【20歳以上(その年の1月1日時点。以下、年齢についてはすべて同じです。)の子どもや孫】に贈与した場合には、税率が優遇されています(特例税率といいます)。
110万円控除後の 金額 |
一般 | 特例 | ||
税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | |
200万円以下 | 10% | 0 | 10% | 0 |
300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 | ||
600万円以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 55% | 400万円 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
410万円超(410万円-110万円=300万円に対して課税)の贈与だと少しずつ税率が優遇されています。
この特例税率をはじめて受ける場合には、
- 親子関係(または祖父母と孫の関係)および子どもや孫の年齢を証明できる戸籍謄(抄)本
が必要です。
親子関係であれば、【子どもや孫の戸籍】を取るだけでOKです(子どもが未婚なら一緒の戸籍に載っていますし、結婚していても両親の名前が載っているからです)。
しかし、祖父母と既婚の孫の関係であれば、【孫の戸籍】だけでは分からないため、【親(祖父母の子)の戸籍】も一緒に取る必要があります。
この2つを合わせて、祖父母と孫の関係が証明できるからです。
なお、2回目からは戸籍は不要ですが、その代わり申告書に【過去に提出した年】と【提出先の税務署名】を書く必要がありますので、申告書は毎年取っておくようにしましょう。
配偶者控除を受ける場合
贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間20年以上の夫婦間で【住宅(土地や建物)そのもの】や【住宅を購入するための資金】を贈与した場合には、贈与金額から最大2,000万円を控除できるという制度です(+基礎控除額110万円も控除可能)。
この制度を使う場合には、下記の書類が必要です。
- 受贈者の戸籍謄(抄)本
- 受贈者の戸籍の附票の写し
- 登記事項証明書など(法務局で取得可能)
要は、【婚姻関係があること】と【婚姻期間が20年以上であること】を証明するために必要な書類です。
相続時精算課税制度の適用を受ける場合
【60歳以上の両親や祖父母】から【20歳以上の子どもや孫】への贈与については、「暦年贈与」(上記の税率が適用される贈与)に代えて、「相続時精算課税贈与」(2,500万円まで非課税・超えた部分に対して20%課税)を選択することができます。
この場合についても
- 親子関係(または祖父母と孫の関係)および子どもや孫の年齢を証明できる戸籍謄(抄)本
が必要です(特例税率の場合と同じです)。
昨年までは他にもたくさんの書類が必要でしたが、2020年分からは簡便になっています。
住宅取得等資金の非課税制度の適用を受ける場合
【両親や祖父母】から【20歳以上の子どもや孫】に【住宅を購入(建築)するための資金】を贈与した場合には、通常の110万円や2,500万円の非課税枠に、500~3,000万円の非課税枠が追加される制度があります。
この場合も、親子関係などや年齢を証明するために、
- 親子関係(または祖父母と孫の関係)および子どもや孫の年齢を証明できる戸籍謄(抄)本
が必要となります(この制度に関しては他にも必要書類がたくさんありますが、割愛します)。
戸籍などをとりよせるには?
戸籍などの書類は、本籍地がお住まいの自治体にあれば、役所に出向けば即日取得は可能です。
しかし、【住所がある自治体】と【本籍地がある自治体】とは違うことがかなり多いです。
そのような場合には、郵送でとりよせる必要があります(これだけはネットではまだ取ることができません)。
その際、共通して必要なものは、下記の通りです。
- 請求用紙(「○○市 戸籍 郵送」と検索すれば、請求用紙がPDFやエクセルで載っていますので、これに記入します)
- 本人確認書類(免許証など)のコピー
- 手数料分の定額小為替
→戸籍謄(抄)本:450円 戸籍の附票の写し:300円
郵便局で買えますが、発行手数料が1枚100円かかります。 - 返信用封筒(切手が必要)
なお、マイナンバーカードがあれば、コンビニで取得することも可能です(上記金額より100円安く取得できます)。
ただし、【住所がある自治体】≠【本籍地がある自治体】であれば、利用申請が必要で、取得可能になるまでに数日必要です(コンビニのマルチコピー機でもできますし、カードリーダーがあればネット上からもできます)。
戸籍が必要になることはそうそうないかもしれませんが、いざ必要になったときに使えると便利です。
窓口で取得するにしても、郵送取得するにしても、コンビニで取得するにしても、期限ぎりぎりではなく早めに動いておいた方が得策です。
ちなみに「自分の本籍地がわからない!」という場合は、まず住民票を取ってみましょう。
住民票には本籍地が載っているからです。