確定申告に「支払調書」は必要か?
この時期、会社がやらなければならないことは年末調整だけではありません。
- 法定調書合計表・支払調書・給与支払報告書の作成
- 償却資産申告書の作成
いずれも翌年1月31日までに税務署や市町村(償却資産がある市町村及び役員・従業員が住む市町村)に提出する必要があります。
このうち、「支払調書」について、もらう側の視点からお話したいと思います。
目次
支払調書とは?
支払調書とは、
- だれに
- どんな名目で
- いくら支払ったかを
- 税務署に報告する書類を言います。
要は、「この1年間で○○さんに△△円支払いましたよ」という報告
この支払調書は給与などの源泉徴収票とあわせて「法定調書」と言い、全部で60種類あります。
特定の業種やある程度の規模の会社でしか提出する機会がない調書も多いですが、どの業種・規模の会社でもおおむね共通して提出する機会が多い支払調書として、次のようなものがあります。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
一般的な会社で言うと、原稿料や講演料、税理士などの士業(士業法人は除きます)に対する報酬などを支払っていれば提出する必要があります。
ただし、少しでも支払っていれば提出しなければならないわけではなく、支払いの種類によって「〇万円超」なら出さないといけない、というふうに決まっています(士業への報酬などであれば年間5万円超)。
私も税理士として、お客様や税理士会などから支払調書をもらう機会があります(税理士会からもらうのは、確定申告などの相談業務に従事したときです)。
不動産の使用料等の支払調書
不動産の賃料や権利金、礼金、更新料などを年間15万円超支払っている会社などは、提出する必要があります。
ただし、支払っている相手が会社である場合は、賃料以外の金額で出すか出さないかを判定します。
確定申告で支払調書は必要か?到着を待たないといけないか?
それでは、この支払調書をもらう側、つまり
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書→報酬や原稿料、講演料などをもらう人
- 不動産の使用料等の支払調書→不動産オーナー
は、確定申告をするときに支払調書を用意しなければならないのでしょうか?
また、支払調書の到着(だいたい1~2月ごろ)を待って確定申告をしなければならないのでしょうか?
確定申告に支払調書は不要
結論から言うと、不要です。
報酬や賃料などを支払っている会社は、税務署に支払調書を提出する義務がありますが、報酬などを受け取る側に交付する義務はありません。
支払調書が届く前に確定申告してしまっても問題なし
また、受け取る側も、報酬の請求書や賃料の明細書、預金口座などで収入を認識し、日頃からこまめに会計入力していれば、支払調書がなくても確定申告はできます。
法定調書合計表の提出期限が毎年1月31日なので、支払調書が届くのであれば1,2月頃であることが多いですが、収入をきっちり把握していれば、それらが届く前に確定申告をしてしまっても何ら問題はありません。