駆け込みで固定資産を買うのはあまりおすすめしません!(年明けの方がいい理由)

 
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12月4日に続いて、減価償却費のはなしです。

個人事業主の方と12月決算の会社の方は、まもなく事業年度が終わろうとしています。

決算対策として、駆け込みで固定資産を買おうとされる方が多いですが、今すぐ必要ということでない限りは、あまりおすすめしない方法です。

また、いずれ必要になるということであれば、年明けに回すことをおすすめします。

 

たしかに節税できるが、手残りが少なくなってしまう

駆け込みで固定資産を買うことをおすすめしない最大の理由が、「たしかに節税はできるが、手残りが少なくなってしまう」という点です。

  ①何もしない場合 ②駆け込みで固定資産を100買う場合 差額(②-①)
利益 300 200 △100
税金(30%) △90 △60 +30
手残り 210 140 △70

 

上の表の通り、駆け込みで固定資産を100購入した場合、税金はたしかに90→60と30減っており、節税には「成功」しています。

しかし、手残りでいうと、何もしなければ税金を支払っても210残っていたのが、駆け込みで購入したことで利益が減少し、節税効果を考慮しても140しか残っていません。

たしかに、購入した固定資産を活用して、将来の利益につなげることも考えられますが、目先のキャッシュを感がるなら、どうしても今必要ということでなければ、節税のためだけに固定資産を駆け込みで購入しない方が賢明です。

 

月割計算のおかげでそこまで節税効果はない(30万円以上の場合)

また、1つ30万円以上の固定資産の場合は、「耐用年数」に応じた減価償却により、その年数にわけて経費化していきます。

100万円の資産で耐用年数10年なら、100万円÷10年=10万円です(別の計算の仕方もあります)。

年数や購入金額にもよりますが、この時点でも購入金額の割にはそこまで節税効果はありません。
さらに年の途中で購入した場合は、この効果がさらに薄れます。

個人事業主や12月決算の会社が、12月に購入した場合には、これを月割にする必要があります。

10万円×1/12=8,333円

しかも節税効果はその税率分なので、30%なら100万円のものを買っても2,500円ほどしか節税効果はありません。

もちろん翌年以降は丸々10万円を経費化できるのですが、これなら駆け込みで購入してもほとんど効果はありません。

 

固定資産税のことを考えれば、1月に回した方が少しお得

個人事業主や会社が所有している事業用の資産(1つ10万円以上で、土地・建物・自動車・軽自動車を除きます)が計150万円以上あれば、固定資産税が1.4%かかります。

※金額は、購入金額から固定資産税独自の減価償却計算をした後の残額です。

課税の対象になるのは、毎年1月1日時点で所有している資産です。

そのため、今すぐ必要ということでなければ、12月中に無理して買わず、年が明けてから買った方が少しお得です(基準を超えればいずれは納税しなければなりませんが、それを1年先延ばしにはできます)。

なお、10万円以上20万円未満の固定資産の場合は、購入月にかかわらず、購入金額の3分の1ずつを3年かけて経費化していく方法もあります。

この方法で償却した場合は、固定資産税の課税対象外ですので、固定資産税がすでにかかっている人・かかりそうな人はこの方法も選択肢に入れることをおすすめします。