減価償却を好きな年数でやるのはOK?NG?
事業で30万円以上の固定資産(建物、機械、車、器具備品など)を購入すると、「減価償却」をしなければなりません。
減価償却とは、固定資産の種類に応じて、何年かに分けて経費にしていくことを言います。
この経費化していく年数は、国税庁によって、固定資産の種類に応じて細かく決められています。
しかし、
「中古で買ったから、国税庁が決めた年数までは持たないよ」
「この固定資産は、次々に新製品が出てくるから、最後の方は陳腐化してしまうよ」
という意見もあり、国税庁が決めた「法定耐用年数」と、現場での「耐用年数」とは食い違いが生じることもあります。
それでも、国税庁が決めた「法定耐用年数」通りに減価償却をする必要があるのでしょうか?
目次
個人事業主の場合は「法定耐用年数」通りに
個人事業主の場合は、国税庁が決めた「法定耐用年数」通りに減価償却をしなければなりません。
会社の場合は好きな「耐用年数」で減価償却できますが・・・
一方で会社の場合は、諸事情に合わせて、その会社が決めた「耐用年数」で減価償却することができます。
しかし、会社が決めた「耐用年数」と国税庁が決めた「法定耐用年数」のどちらが長いかで、税金の計算のしかたが変わることがあります。
会社が決めた「耐用年数」≧国税庁が決めた「法定耐用年数」
この場合は、税金の計算には影響はありません。
言い換えると、会社が決めた「耐用年数」での減価償却費≦国税庁が決めた「法定耐用年数」での減価償却費となり、経費が少なくなる=利益が多くなる=納税額が多くなるので、税務署は何も文句はないためです。
会社が決めた「耐用年数」<国税庁が決めた「法定耐用年数」
この場合は、税金の計算でひと手間かかることになります。
国税庁が決めた減価償却費よりもたくさんの減価償却費を計上するので、経費が多くなる=利益が少なくなる=納税額が少なくなる、ためです。
たとえば、
- 国税庁が決めた減価償却費:100
- 会社が計算した減価償却費:120
で、会社の利益が1,000だったとすると、税金計算では、
利益1,000+減価償却超過額20=1,020に対して税金をかけることになります。
言い換えると、この調整さえすれば、会社の場合は好きな年数で減価償却をしてもいいことになっています。
中古資産の場合は耐用年数を短縮できる
前述の内容は原則的な話ですが、中古で購入した固定資産の場合は使える年数が限られてくるので、特例が設けられています。
使用可能な期間を見積もって、その期間内で減価償却をすることが可能です。
ただし、どれくらい使用可能かを見積もるのが難しいことが多いので、その場合は、下記の計算式で算出した年数で減価償却をします(こっちの方が多いです)。
法定耐用年数ー経過年数×0.8(法定耐用年数≦経過年数の場合は、法定耐用年数×0.2)
耐用年数が短くなるので、その分たくさん減価償却ができます。
「節税対策」で「〇年落ちの車」を買うことが好まれるのも、ここに理由があります。
たとえば「5年落ちの車」(初度登録から5年経過した車)であれば、
6年ー5年×0.8=2年
であるため、年度の1か月目に購入した場合には、購入金額のほぼ全額を減価償却費にすることも可能です。
ただし、同じ金額を6年かけて経費化するか2年で経費化するかの違いだけであり(2年で経費化する場合は、3~6年目は逆に経費が少なくなり、その分税金が増えます)、トータルで見ればそんなに違いはありません。