12月は贈与の季節ーきちんと贈与を成立させるために大事なこと

 
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12月は「贈与の季節」と言えるかもしれません。

お歳暮、クリスマスプレゼント、お年玉(これは1月に入ってからですが)と、色んな金品が頻繫にやりとりされる季節だからというのもありますが、相続(税)対策のための贈与が駆け込みで行われるのも、この12月だからです。

贈与税には、年間110万円の非課税枠(基礎控除)が設定されており、それをこえると税金がかかるしくみになっています。

その計算期間は「暦年」(1月1日~12月31日)になっているため、その期限に間に合うようにと、12月に贈与が行われやすくなっています。

この贈与が、きちんと成立するために注意すべきことについて解説したいと思います。

 

贈与契約書をつくる

贈与が成立するためには、

  • 贈与者(あげる側):「あげます」
  • 受贈者(もらう側):「もらいます」

の双方向の意思表示があることが要件になります。

別に書類が無くても、この双方向の意思表示があれば口頭(口約束)でも構わないのですが、問題点があります。

まず、「書面によらない贈与は、各当事者が撤回可能」という点です(すでに贈与が終わっている分は対象外)。

また、毎年100万円の贈与を10年にわたりしていると、「はじめから1,000万円をわたすつもりで、分割払いにしているだけじゃないか?」と見られ、1,000万円を対象に贈与税が課税されるおそれもあります。

※1,000万円の贈与の場合の贈与税:177万円または231万円(当事者の関係・年齢により変動)

しかし、贈与の度に契約書をきちんと交わしていれば、1回1回の合意にもとづき贈与が行われますので、そのリスクを減らすことができます。

贈与契約書は、下記のように記載します。

贈与契約書

基本的にパソコン作成でよいのですが、最後の氏名欄だけは、それぞれが自筆で署名するようにし、押印するようにしましょう。

また、2通作って、贈与者・受贈者それぞれで1通ずつ保管することも忘れないようにしましょう。

なお、受贈者(もらう側)が未成年者の場合は、その親権者(贈与にかかわらない親)が代理で署名・押印します(未成年者である受贈者は署名・押印は不要で、印字だけでOKです)。

 

「確定日付印」をもらう

しかし、贈与契約書は、後付けでつくることも可能ですので、「あとから遡って作ったのでは?」と疑われる可能性もないわけではありません。

万全を期すなら、この贈与契約書に「確定日付印」を押してもらうことをおすすめします。

「確定日付印」とは、「その書類(ここでは贈与契約書)がその日に確かに存在したことを証明するための印」を言います。

公証役場(遺言などの公正証書をつくってくれる機関です)に原本を持っていき、料金(1通700円)を支払えば、窓口で印を押してもらえます。

同じ年内に確定日付印をもらっておくと、より効果的です。

なお、「押印してもらった日時点では、その書類が存在していたこと」を証明してくれるだけであり、公正証書遺言のように保管してくれるわけではありませんので、注意してください(無くさないようにしましょう)。

 

財産を確実に移転する

契約書を交わしても、贈与税の申告・納税をしても、その財産が受贈者側に移転し、自由に使えるようになっていなければ意味がありません。

不動産であれば登記をおこなう必要がありますし、現金の贈与であれば受贈者が自由につかえる口座に入金(振込)してあげる必要があります。

 

まとめ

「贈与税の申告・納税をしていれば贈与したことになるから大丈夫だよ」とまことしやかに言われますが、それだけだったら成立はしていません。

  • 贈与者・受贈者が双方向に意思表示をすること
  • それを書面に残すこと
  • 対象財産を確実に受贈者のものにすること

の3つが大事です。

その上で、贈与税がかかる場合には、期限までにきちんと申告・納税も済ませましょう。