誰が集める?戸籍謄本

 

相続業務は、家族関係や財産の内容などによって十人十色であり、1つとして同じ業務はありませんが、1つだけ共通してやらないといけないことがあります。

それは、「戸籍の収集」です。

戸籍収集の目的は、

  1. 被相続人が亡くなったことを明らかにすること
  2. 相続人全員を明らかにすること

の2点です。

これをだれが集めるか(もしくは集めることができるか)、どうやって集めるかについて説明したいと思います。

 

戸籍を親族が集める場合

親族が戸籍を集める場合は、被相続人との関係性により、ハードルの高さが変わってきます。

配偶者や未婚の子どもが集める場合

この場合は、同じ戸籍の中に一緒に入っているので、本人確認書類や印鑑などがあれば比較的容易に取得が可能です。

直系の親族(両親や既婚の子ども、孫など)が集める場合

この場合は、同じ戸籍でないことが多く(被相続人が未婚のまま亡くなったら、両親は上のカテゴリーになりますが)、被相続人との関係を示す書類(請求者の戸籍など)も求められることがあります。

傍系の親族(きょうだい、甥姪など)が集める場合

この場合も、被相続人との関係を示す書類(請求者の戸籍など)を求められることがありますが、請求者の戸籍だけでなく、その親や祖父母の戸籍なども必要になります。

そうしないと請求者から被相続人へとたどっていけないからです。

ただし、被相続人に配偶者がいて、その配偶者から委任状をもらえれば、比較的取得は容易になります。

 

戸籍を専門家に代理取得してもらう場合

親子間の相続だったり、収集しに行く自治体が1か所だけだったりする場合は、比較的取得は用意ですが、きょうだい(甥姪)相続だったり、何回も転籍していたり、高齢の方だったりすると、一般の方では取得が困難になります。

きょうだい(甥姪)相続の場合は、両親や祖父母(甥姪が相続する場合はきょうだいの分も)の出生から死亡までの戸籍も集めなければなりませんし(そうしないと関係性を証明できません)、

何回も転籍していると、それだけ多くの自治体に戸籍の請求をかけなければなりません。

また、高齢の方の場合は、戸籍が古く、手書きの戸籍で読みにくいことが多いです(筆で書かれていたものもあります)。

こういう場合は、専門家に代理取得してもらった方が楽かもしれません。

委任状を使って集める場合

親族が集める場合と同じく、委任状をもらうことで第三者である専門家も戸籍を収集することができます。

ネックは、署名・押印をいただく必要があること、何か所にも同時並行で戸籍収集をするなら何枚も必要になることです(委任状が1枚だけだと、返却を待ってからでないと次の手続きに進めず、時間がかかってしまいます)。

職務上請求書を使って集める場合

税理士や行政書士、弁護士、司法書士などの士業者の場合は、委任状なしで職権で戸籍や住民票などを集めることができます。

その際に使う紙のことを「職務上請求書」と言います。

上は税理士の職務上請求書です(複写式になっています)。

税理士であれば、税理士会で1枚20円で購入できます。

ただし、だれの戸籍でも自由に取得できるわけではなく、税理士の職務上必要な範囲と必要な場合に限り、この請求書を使って取得することができます(具体的には、相続税申告や贈与税申告で必要な場合など)。

他の士業(行政書士など)についても、それぞれの職務上必要な場合に限られます。

また、請求書には連番が付されていたり、管理台帳および控えの備え付けが義務付けられていたりと、厳重な管理が求められています。

そんな職務上請求書ですが、上述のように複雑な相続関係の場合などは、自分でやるよりも、専門家に依頼して取得してもらった方が手続きがスムーズかもしれません(依頼先は、どんな相続手続きが必要かで変わってきます)。