無料で利用できる税務・経理サービス
税務申告や決算、ふだんの経理などに関する相談や手続きと言えば、税理士にお金を払ってやってもらうものだと考えていませんか?
じつは、税務申告については税務署が無償で提供しているサービスがあったり、税理士会などがボランティアでやっているサービスがあったりします(そこに従事する税理士には、税理士会などからお金が少し出ていますが)。
とくに開業したてで、税理士にお金がそこまで出せないという方には、今回ご紹介する無償のサービスをフル活用してみてはいかがでしょうか?
税務申告に関するサービス
e-Tax(国税電子申告・納税システム)
e-Taxは、国税庁が提供している、国税(所得税、法人税、地方法人税、消費税、相続税など)の電子申告や電子納税などをするためのオンラインサービスです。
e-Taxソフトには、今のところ3つのタイプがあります。
- WEB版(ブラウザ上(今のところInternetExplorerかSafariだけ)で使用できる)
- SP版(スマホ)
- DL版(パソコンにダウンロードする) ↓こんなやつです。
e-Taxを利用するには、次のどちらかの方式を選ぶ必要があります。
どちらも、準備に少し手間がかかりますが、できるようになっていれば、税務署に出向いたり、相談会場に並んだりしなくてよくなるので、何かと便利です。
- ID・パスワード方式:税務署に出向いて、IDとパスワードを発行してもらい、それを入力して行う方式
- マイナンバーカード方式:マイナンバーカードとICカードリーダ・ライタ(カードを読み込むための機器)を用意する方法
無償とは言いましたが、ICカードリーダ・ライタは自分で購入する必要があります(2,3千円程度で、家電量販店でも売っています)。
なお、個人の確定申告については、「確定申告書等作成コーナー」(上の画像の赤囲み部分)で、質問に沿って入力していけば、比較的かんたんに確定申告書の作成ができます。
eLTAX(地方税ポータルシステム)
こちらは「地方税共同機構」(全国の自治体が共同運営する団体)が提供している、地方税(都道府県民税、市町村民税など)の電子申告や電子納税などができるオンラインサービスです。
eLTAXにも、e-Taxと同じように3つのタイプが存在します。
- PCdesk(WEB版)
- PCdesk(SP版)
- PCdesk(DL版):パソコンにダウンロードして使う ↓こんなやつです
※「PCdesk」とは、eLTAXが無償で提供しているソフトウェアです。
会社の申告であれば、e-Taxソフト(デスクトップアプリ版)で作った法人税申告データを切り出して、PCdeskに読み込ませることもできますので、それぞれ別システムなのですが、転記ミスは起こりにくくはなっています。
個人の場合は、e-Taxに比べると使う機会が少ないですが、償却資産の申告をする必要がある人は、持っておくと便利です。
なお、e-TaxもeLTAXも、それぞれ3つのタイプがありますが、1つのタイプだけですべての手続きができるわけではないので、とくに会社で利用する場合は、WEB版とDL版の両方があった方がいいです(個人の確定申告でしか使わない場合は、WEB版と確定申告書等作成コーナーだけでいいかと思います)。
税務相談に関するサービス
税金に関する相談であれば、税理士会(や支部)が定期的に相談会や電話相談を実施しています。
ただし、30分前後の限られた時間での一般的な回答になることが多いので(提供される情報も限られてくるのでしょうがない面はあります)、より込み入った相談をしたければ、税理士に有料で頼んだ方がいいです。
また、税務署でも電話相談センターや面談での相談(事前予約が必要)が行われています。
経理に関するサービス
とくに開業したての方にとっての悩みの1つに、「どうやって経理をしていけばいいか」ということがあるかと思います。
そのような方向けに、税務署と各地域の税理士会の共同事業として、「記帳指導」というものがあります。
税務署や税理士会に問い合わせをすれば、担当税理士をつけてくれて、無償で経理のしかたから確定申告書の作成方法まで教えてくれます(かく言う私も、現在この「記帳指導」の担当税理士として従事しています)。
研修の方式は、地域によって異なるようですが、マンツーマンのレクチャーや集合研修などがあり、だいたい4~6回実施します。
また、今年からはZoomなどを使ったオンラインでの記帳指導も始まっていますので、感染リスクへの対応もバッチリです(近畿税理士会での話で、他の地域ではどうか知りませんが)。
まとめ
無料で利用できる税務や経理関係のサービスをご紹介しましたが、お金を払ってでも税理士に頼んだ方がいいものもあります。
その1つが、相続税申告です。
財産調査や申告書作成には時間がかかりますし、仕事をしていれば、どこかで休みをとらないと対応が難しいかと思います。
税務署や税理士会でも相続税に関する相談は受け付けていますが、具体的な申告書の作成方法までは対応していません。
税務署では記入の仕方くらいは教えてくれるところもあるようですが、税金的に有利な方法(とくに土地の評価や特例など)まで親切に教えてくれることは少ないようです。
自分で作成している場合は、税務調査に入られることも多くなるようです。
なので、税理士に有料で頼んだ方が結果的に安上がりになることも多いです。