金融機関(銀行・信用金庫など)での残高証明書の取り寄せ手順
相続手続きにおいて、預貯金がどれだけあったかを調べるには、まず取引のあった金融機関で残高証明書を取り寄せる必要があります。
相続税申告が不要な場合は、通帳に記帳したものでも足りますが、下記に該当する場合は残高証明書を取得した方がいいです。
- 記帳できない場合(凍結されている場合など)
- ネットバンキングをしていて、パスワードなどが分からない場合
- もめそうな場合
- 相続税申告が必要な場合
その取り寄せ手順について解説します。
目次
まず金融機関に伝える
まずは、電話でも窓口でもいいので、金融機関に被相続人が亡くなったことと、残高証明書を取りたい旨を伝えましょう。
この場合の金融機関は、実際に取引していた支店でなくても、相続人の最寄りの支店でも大丈夫です(ただし、手続きにかかる時間は、実際に取引していた支店の方が速いです)。
注意すべき点は、亡くなったことを伝えた時点で、その口座が凍結されてしまう点です。
毎月その口座から支払っているもの(水道光熱費、通信費など)があれば、引き落とし口座を変えておきましょう。
必要書類を集める
亡くなったことを伝えた際に案内があるかと思いますが、次の書類等を用意します。
- 被相続人が亡くなったことが分かる戸籍(その人の名前の欄に「除籍」と記載されています)
- 手続きをする人が相続人であることが分かる戸籍
→配偶者や未婚の子どもであれば、1の書類に一緒に記載されていますので、あらためて取る必要はありません。きょうだいや甥姪が相続人の場合は、取得する戸籍がたくさん必要です。 - 手続きをする人の本人確認書類
- 通帳(残っている場合)
- 発行手数料分のお金(証明書の内容によりますが、1機関3,000円あれば十分です)
また、税理士や行政書士などに依頼する場合は、上記に加えて、委任状(ゆうちょ銀行の場合は、全文を依頼者が手書きする必要があります)や印鑑登録証明書(発行後3か月以内に限定しているところが多いです)も必要になってきます。
金融機関に持ち込む
書類が揃ったら、これらを金融機関に持ち込みます(郵送でもOKです)。
ここで、ゆうちょ銀行とその他の金融機関とで、手続きの仕方が少し異なってきます。
ゆうちょ銀行での手続き
ゆうちょ銀行での手続きは、民間の金融機関に比べて、少し手間がかかります。
まず、「現存照会」という手続きが必要です。
現存照会とは、被相続人名義で、どのような口座があったのかを調べる手続きです。
民間の金融機関なら、その場で調べてもらえることも多いですが、ゆうちょ銀行の場合は、まず口座の有無を調べ、次に残高証明書を取得する、という2段構えになります。
もし、以前に住んでいた場所でもゆうちょ銀行の口座を作っていた場合や、屋号などでゆうちょ銀行の口座を作っていた場合などは、それらも記載しておくと、漏れがなくて済みます。
また、発行手数料を引き落すゆうちょ銀行の口座の記載が必要ですので、手続きする人がゆうちょ銀行を持っている場合は、口座番号と届出印も用意しておきましょう。
なお、国債や投資信託などがないかも調べられますが、その場合は1か月ほど時間がかかりますので、余裕をもって手続きをしましょう。
その他の金融機関
その他の金融機関の場合は、書類を持ち込むか、郵送すれば、1~2週間程度で残高証明書を取得できます。
残高証明書を取る際の注意点
残高証明書を取る際は、以下の点にも注意してください。
既経過利息を計算してもらう
とくに相続税申告が必要な場合は、定期預貯金や積立預金については、「既経過利息」(最後の利払い日~亡くなった日の期間の税引き後利息)を元本額に加算する必要があります。
計算書類も出してもらうか、残高証明書に記載してもらうようにしましょう。
何も言わなくても出してくれるところもありますが、こちらから言わないと出してくれないところも多いです。
また、既経過利息を計算してもらう場合は、追加料金(銀行によっては2,000円ほどかかるところもあります)が必要になります。
亡くなった日現在の残高を出してもらう
相続では、亡くなった日現在の時価を基準にしますので、預貯金の残高証明書も、亡くなった日現在の残高を証明してもらうようにしましょう。
時々、間違えて手続きしに行った日現在の残高証明書を取ってきてしまう方もおられます。
相続税申告が必要な場合は、特に日付が大事です。