相続手続きでの戸籍の取り寄せ手順

 

戸籍は、あらゆる相続手続き(申告、登記、預貯金などの名義変更)で必要になってきます。

その取り寄せ手順についてお話したいと思います(この記事では、被相続人:親 相続人:子どもであることを前提にお話します)。

戸籍の取り寄せ手順

本籍地が分からなければ、まず住民票(の除票)を取ってみる

戸籍を取得するには、まず本籍地のある市町村に請求するところから始めますが、被相続人や自分自身の本籍地がどこか分からないということもよくあります。

本籍地は、日本国内であればどこに置いてもOKなので、いま住んでいる(生前最後に住んでいた)市町村に本籍地があるとは限りません。

この場合は、戸籍を取りに行く前に、まず「住民票」を取得します。

住民票には、その人の本籍地を記載してもらうことができますので、この住民票から、どこに戸籍の請求をかければいいかが分かります。

なお、亡くなった人については、住民票が「住民基本台帳」から除かれます。
この住民票を「除票」といい、相続人が取得するには、相続人であることが分かる戸籍などが必要になります。

この場合は、相続人の戸籍をまず取ってみることで、そこからさかのぼって、被相続人の本籍地が判明します。

最後の本籍地で戸籍と改製原戸籍を取ってみる

本籍地が分かったら、次にその市町村で戸籍を取得します。

大阪市の場合は、以下のような書式で請求します。
窓口に行けるのであれば、「相続手続きで必要なので、○○(被相続人)の出生から死亡までのすべての戸籍をください」と伝えれば、たいていの場合、一揃い用意してくれます。

madokoseki

注意すべき点は、「筆頭者」の欄です(この後も同じ)。

戸籍の「筆頭者」とは、その名の通り、戸籍の最初に記載されている人のことです。

戸籍は、通常は夫婦と未婚の子どもとで構成されますが、この筆頭者は、夫婦のうち、結婚の際に姓を変えなかった方になります。

日本では、現状、妻が姓を夫に合わせることが多いので、被相続人が女性であれば、この「筆頭者」の欄には、夫(子どもたちからすれば父親)の名前を書く必要があります。

※夫が婿養子の場合など、夫が姓を変えているなら、「筆頭者」の欄は妻になります。

また、平成6年の戸籍法改正で、戸籍が作り直されていることが多いので、「改製原戸籍」にもチェックを入れるようにしましょう。

たぶん1回ではすべてそろいません

最後の本籍地があった市町村で「出生から死亡までのすべての戸籍」を集めようとしても、多くの場合、1回ではすべて揃わないケースが多いです。

それは、以下の理由によります。

転籍(本籍地の移動)をした場合

引っ越しなどにともなって、住所と本籍地をあわせるために、「転籍」(本籍地の移動)をしている場合です。

この場合は、転籍前の市町村でも、上と同じように取り寄せる必要があります。

結婚している場合

未婚の間は親の戸籍に入っていますが、結婚すれば、親の戸籍を抜けて夫婦であらたに戸籍を作ることになります。

そのため、最初の戸籍収集では、結婚前の、親の戸籍を取ることができません。
この場合は、「筆頭者」の欄を親(子どもたちからすれば祖父母)にして、上と同じように戸籍を取り寄せる必要があります。

最後に相続人の最新の戸籍を取り寄せる

ここまでで、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍を取得することができました。
最後に、相続人が確かに存在していることを証明するために、最新の戸籍を取り寄せます。

どの市町村に請求すればよいかについては、最初に述べた「住民票から探る方法」のほかに、被相続人の一連の戸籍から探る方法もあります。

結婚している子どもの場合は、結婚後最初につくった戸籍の本籍地が載っているため、その市町村に請求すれば取得できる可能性が高いです(結婚後、転籍などをしている場合は、転籍後の本籍地まで追っていかないといけないですが)。

なお、配偶者や未婚の子どもの場合は、被相続人の最新(最後)の戸籍に一緒に記載されているので、あらためて戸籍をとる必要はありません。

 

戸籍を取り寄せるのが大変だと感じたら・・・税理士・行政書士におまかせください

ここまで読んでいただいたらお分かりになられたかと思いますが、戸籍一式を取り寄せる作業は、結構な手間がかかります。

現在お住まいの市町村ですべて済ませられるならまだマシかもしれませんが、遠方の市町村にも請求しなければならない場合もあります。

また、相続人が子どもではなく、きょうだいや甥姪となると、集めなければならない戸籍の数が段違いに増えます(被相続人だけでなく、その両親や既に亡くなっているきょうだいの出生から死亡までの戸籍も取らなければなりませんし、きょうだいや甥姪が相続人だと、人数が多くなりがちだからです)。

さらに、役所が開いているのは、平日の日中であることがほとんどなので、とくに仕事をされている方の場合は、わざわざ有休を取得した上で取りに行くか、郵送請求をする必要があります(郵送請求の場合は、料金分の定額小為替や返信用封筒を用意しなければならず、また請求用紙の書き方を直接聞けないので、やはり大変です)。

役所に出向けたとしても、結構待たされることが多いです。

戸籍の取り寄せが大変だと感じたら、相続税申告の有無にかかわらず、税理士・行政書士である松尾にぜひおまかせください。

相続メニューはこちらから