会社名義のクレジットカードを使ったときの経理の注意点
会社名義のクレジットカードがあれば、経費精算がラクだったり、現金を用意しなくてよくなったりと、なにかと便利です。
また、代金の支払日を先にのばすことができるので、資金繰りの面でも持っておくと便利です。
しかし、経理のときは注意が必要です。
カード代金の引き落とし日ではなく、カード決済時に処理する
一番気を付けなければならないことは、「カード代金の引き落とし日ではなく、カード決済時(カードをつかって購入した時)に会計処理をする」ことです。
そうしないと、適正な会社の損益がでないからです。
カードの締め日と代金の引き落とし日は、クレジットカード会社によってまちまちです。
- 10日締め・翌月5日支払い
- 15日締め・翌月10日支払い
- 末日締め・翌月26日支払い 等々
「カードをつかってモノやサービスを購入した月」と「実際にお金を支払った月」が異なることが多いです(それがクレジットカードなのですが)。
たとえば、「15日締め・翌月10日支払い」のクレジットカードをつかって、
- 9月22日に消耗品30,000円を購入
- 10月9日にガソリン代5,000円を支払いし、
その後、11月10日に「9/16~10/15使用分」が会社の銀行口座から引き落されたとします。
一連の取引で、適正な会計処理は次のとおりです(単位:円)。
日付 | 借方科目 | 借方 金額 |
貸方科目 | 貸方 金額 |
内容 |
9/22 | 消耗品費 | 30,000 | カード未払金 | 30,000 | コーナン 社内備品 |
10/9 | 旅費交通費 | 5,000 | カード未払金 | 5,000 | ENEOS ガソリン代 |
11/10 | カード未払金 | 35,000 | 普通預金 | 35,000 | JCB カード代金 |
こうすることで、実際に経費が発生した月に経費を計上することができ、適正な会社の損益を計算することができます。
日付 | 借方科目 | 借方 金額 |
貸方科目 | 貸方 金額 |
内容 |
11/10 | 消耗品費 | 30,000 | 普通預金 | 35,000 | コーナン 社内備品 |
旅費交通費 | 5,000 | ENEOS ガソリン代 |
一方、実際に経費が発生したのは9月や10月なのに、カードの支払い月にこのような処理をしてしまうと、11月に経費が発生したようになってしまい、適正な損益が計算できません。
百歩譲って、同じ事業年度内ならまだ結果的にいいかもしれませんが、年度をまたいでしまうと、前期の経費を翌期の経費にしてしまうことになります。
そのため、カードを使ったらすぐに会計処理をするようにしましょう。
(クレジットカード決済でも、領収書はもらえるはずです。)
最近では、ネット上で明細を逐一確認することができますし(カード明細が届くのを待たなくていい)、会計ソフトとの連動で自動入力することも可能です。
相手科目は「未払金」(「カード未払金」もおすすめ)
カード代金は次月以降に支払う予定なので、カード代金の残債がいくらかを示す勘定科目は、「未払金」となります。
毎月のカード代金が多かったり、複数のカードを持っていたりする場合は、独立させて「カード未払金」という勘定科目を作って使用するのもおすすめです。
複数のカードを持っている場合は、「JCB」や「VISA」、「AMEX」といった具合に【補助科目】を設けると管理しやすいです。
まとめ
クレジットカードは、経費精算が効率的になるだけでなく、「後払い」であることにより、会社の資金繰りにも活かすことができますので、会社で1枚持っておいても損にはならないかと思います。
ただし、クレジットカードには使用できる限度額がある点には十分注意してください。