遺言書があるかどうかの確認
相続が発生した時にまずやることは、「遺言書があるかどうかの確認」です。
(その前に死亡届の提出や葬儀などもありますが・・・)
遺言書がないと思い込んで、遺言書の有無を確認せず遺産分割協議をしてしまい、後から遺言書が見つかったりすると、とても面倒なことになります。
後から遺言書が見つかったとしても、当初の遺産分割協議通りの分け方で相続人全員が納得するならそれでもいいのですが、誰か1人でも納得しなければ(遺言書の通りに分けたいと主張すれば)、遺言書通りに分け直さなければなりません。
多少面倒かもしれませんが、後でさらに面倒なことにならないためにも、遺言書の有無を確認することは大切です。
公正証書遺言・秘密証書遺言があるかどうかの確認
公正証書遺言や秘密証書遺言については、平成元年以降(東京都内は昭和56年、大阪府内は昭和55年以降)に作成されたものであれば、コンピュータで管理されているので、最寄りの公証役場で遺言書の有無の検索をすることができます。
公正証書遺言の場合は、相続人や受遺者などの利害関係者であれば、次の書類を用意することで、謄本(コピーのようなもの)を交付してもらうことができ、遺言の内容を確認することができます。
- 被相続人が亡くなったことが分かる戸籍謄本
- 被相続人と相続人との関係が分かる戸籍謄本
- 印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)
- 委任状(代理人が検索する場合)
- 身分証明書
秘密証書遺言の場合は、遺言書自体は公証役場には保管されていないので(作ったという事実が分かる)、遺言書そのものは別途探す必要があります。
自筆証書遺言があるかどうかの確認
遺言書保管所で確認してみる
今年7月10日から「自筆証書遺言書保管制度」が始まっており、遺言書保管所(法務局内)に行けば「有無の確認」と「内容の証明書の交付」を受けることができます。
手順は下記の記事をご参照ください。
なお、2つ目の記事にも書いているように、遺言書が保管をしていることの通知を指定した人に行くようにすることもできます。
自宅内を探してみる
公証役場でも遺言書保管所でも検索したが見つからない、という場合は、自宅(実家)内に自筆証書遺言が保管されていないか確認してみましょう。
- 金庫(貸金庫も)
- 被相続人の自室内
- 机の引き出し
- タンス
- 書棚
- 仏壇
遺品整理も兼ねて、こういったところを一度見てみるようにしましょう。
なお、公証役場や遺言書保管所で遺言書が見つかった場合でも、一応確認しておいた方がいいです。
公正証書遺言を作成したり、自筆証書遺言を遺言書保管所に保管したりした後、遺言書を自筆で書き直し、自分で保管している可能性もあるからです。
複数の遺言書がある場合は、日付の新しいものが有効になります。
まとめ
遺言書を作る人は、「遺言書が発見されないリスク」を避けるためにも、信頼できる相続人などに遺言書があることを伝えておくようにしましょう(自筆証書遺言書保管制度なら通知が行きますが)。
また、「紛失のリスク」を避けたければ、公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度の利用がおすすめです(お金はかかりますが)。