戸籍を複数部取るのは大変だから、「法定相続情報証明制度」を利用しましょう
昨日(7/29)相続手続きに必要な戸籍について解説しましたが、人によっては取らなければならない戸籍の数が多くなってしまう方もおられるかと思います。
また複数の相続手続きや金融機関への提出のために、戸籍の束を複数部用意しなければならず、お金が結構かかってしまいます。
原本を返却してもらうなどして1部を使い回すことも可能ですが、そうすると1か所に手続きのために戸籍を出してしまうと、他の機関への手続きをするには戸籍の返却を待たなければならず、いくつかの手続きを同時進行させることができなくなります。
またコピーでもOKなところもありますが(税務署など)、戸籍の束をコピーするのも面倒です(特にきょうだい相続の場合)。
そこで2017年5月29日から、戸籍の束の代わりに、A4の紙1枚で相続関係を証明できる制度「法定相続情報証明制度」が始まっています。
このA4の紙(法定相続情報一覧図)は、必要な分だけ無料でもらうことができますので、手続きを安価で同時進行させることができ、とても便利です。
目次
法定相続情報一覧図作成の手順
法定相続情報一覧図を作成する手順を紹介します。
手順①:必要書類を集める(戸籍謄本など)
一覧図が完成すれば、その後は一覧図のみで手続きが可能ですが、その一覧図を作るにはまず戸籍などを1回は集める必要はあります。
戸籍謄本のほか、住民票の除票や相続人の本人確認書類なども必要になります。
具体的な必要書類は、下記の通りです。
手順②:一覧図を作る
次に、集めた戸籍をもとに、法定相続情報一覧図の原案を作ります。
作り方は下記の通りです(家系図のような感じです)。
手書きでもOKですし、パソコン作成でもOKです(法務局HPに、相続人のパターン別の記載例と作成用のExcelファイルが掲載されています)。
相続人の住所を書くかどうかは任意ですが、書きたい場合は相続人の住民票も事前に取る必要があります(手順①参照)。
手順③:申出書を書いて法務局に持ち込み、確認を受ける
一覧図の原案ができたら、申出書(下記)を書き、手順①で集めた書類と一緒に法務局に持ち込みます(郵送でもOK)。
提出できる法務局は、次のいずれかを管轄する法務局です。
- 被相続人の本籍地
- 被相続人の最後の住所
- 申出人の住所
- 被相続人名義の不動産の所在地
登記官の確認を受け、不備がなければ、相続手続きに使える一覧図が完成します。
自分で作るのが大変な場合は専門家に任せてもOK
一覧図を作ったり、集めた戸籍を読み解いたりするのが大変だという方は、専門家に代行してもらうこともできます。
代行できるのは、戸籍の代理取得と同じく、8士業(税理士、弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士)です。
これら8士業は、それぞれの職務の範囲で、戸籍の収集もできますので、戸籍収集から一覧図作成まで一貫して依頼してもいいかもしれません。