「まとめ買い」することのリスク
突然ですが、私はお酒が大好きです。
ビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーなど、何でもいける口です。
よく家飲みをしています。
お酒好きな人たちの中には、お酒を買いだめして、冷蔵庫やストックルームに保管している方も多いのではないでしょうか?
しかし、私はお酒をケース単位などで買いだめすることはせず、飲みたい時にコンビニなどで必要な本数だけ買うようにしています。
いちいち買いに行くのは面倒ですし、1本1本買う方が単価も高くつきます。
非効率で不経済的かもしれません。
それでも私がお酒のまとめ買いをしないのには、理由があります。
まとめ買いすると単価は安いが、キャッシュは?置き場所は?
ビールなどをケースで買えば、コンビニでその都度買うより、1本当たりでは安く飲むことができます。
毎日毎日飲むなら、確かにケース買いした方がいいかもしれません。
しかし、私の場合は意志が弱く、家にお酒があったらあっただけ、目の前にお酒があったら、飲んでしまう性質です。たまにお中元やお歳暮でビールをいただくことがあると、2~3日あれば飲み干してしまいます。
あったらあっただけ飲んでいては、体にも良くはありません。
一方、家にお酒が無いなら無いで過ごすこともできないではありません(そこまでお酒を欲しているわけでもありません)。
例えば1日おきに350mlのビールを2本ずつ飲んだとすると、1か月で
- その都度買いなら、220円×2本×15日=6,600円
- ケース買い(24本入り)なら、4,500円÷24本×2本×15日=5,625円
となります。
ケース買いの方が安いじゃないか、と思われるかもしれませんが、1か月に実際に出ていったお金で比べると、
- その都度買い:6,600円
- ケース買い:4,500円×2ケース=9,000円(月30本飲むので、2ケース目を買わなくてはいけません)
と、その都度買いの方がその月のキャッシュアウトは少なくて済みます。
また、上の例はどちらも律義に1日おきに2本ずつ飲んだ想定で計算しています。
その都度買いなら1日おきに飲むといったコントロールができますが、ケース買いだと自制心が働かず、「あったらあっただけ飲んでしまう」ので(少なくとも私の場合は)、例えば毎日3本ずつ飲んでしまったとすると、
4,500円÷24本×3本×30日=16,875円
となり、ケース買いの方が高くついてしまいます。
さらに、置き場所の問題もあります。
その都度買いなら、買ってきたらすぐに飲んでしまいますので、場所は取りません(強いて言えば2本目を冷やすスペースくらい)。
しかしケース買いなら、ケースを置く場所を取る必要があり、また飲みたい時にすぐ飲めるように6本ずつくらいを冷蔵庫に入れておく必要もあります。
会社でまとめ買いすることのリスク
酒好きな私を例にお話しましたが、同じことは会社での物の購入にも言えます。
まとめ買いをすると単価を抑えることができ、お得であるように見えます。
しかし、先ほどの例と同じように
- 一度に多くのお金が出ていくので、その分キャッシュフローが悪化する。
- まとめ買いした物品の保管場所を取ってしまう(保管のために倉庫代などのコストがかかる)。
などのリスクもあります。
家で飲むお酒なら、そうそう腐ることはありませんし、家の中で無くしてしまうといったこともほぼありませんが、会社の物品であればさらに、
- 壊してしまったり、汚してしまったり、無くしてしまったりすることがある。
- (売り物であれば)陳腐化してしまい、普通の値段では売れなくなってしまうことがある。
といったリスクもあります。
まとめ買いは節税になるか?
会社でまとめ買いをする動機の1つに、「節税対策」があります。
(こういう時期なので多くはないかもしれませんが)業績好調で、思ったよりも利益が出てしまい、税金を抑えるために、期末ギリギリに
- 会社の備品などをまとめ買いする
- 月払いのものを年払いに切り替える
といったことをすることがあります。
出費を増やすことで確かに「税金を抑えることは」できます。
しかし、その効果は早くても2か月後(納税の期限は決算日から2か月以内)ですので、出費の方が節税効果よりも先に現れてしまいます。
また、出費額以上の節税効果を得ることはできず、キャッシュフロー的には結果的にマイナスとなってしまいます。
また、会社の商品や切手、印紙などは、期末ギリギリに購入しても、決算日に残っている分は、仕入高や経費(切手→通信費、印紙→租税公課)から除く必要があります(「たな卸し」と言います)。
そのため、期末に売れる見込みや使う見込みが無ければ、期末にまとめ買いしても意味はありません。
まとめ
まとめ買いは単価を下げるメリットはあり、会社的には節税効果も確かにありますが、一方でキャッシュフローや保管の問題があることも考えておかなくてはなりません。
「それ、本当に必要なの?」「今必要なの?」と、まとめ買いすることを見直してみてもいいかもしれません。