7月10日から「自筆証書遺言書保管制度」がスタート!早速保管しに行ってみました。

このブログで何回かご紹介している「自筆証書遺言書保管制度」が7月10日からスタートしました。

早速、私も遺言書を書いて、「遺言書保管所」(法務局)に保管しに行ってみましたので、報告します。

遺言書保管の流れ

自筆証書遺言書保管の流れは下記の通りです(法務省HPより)。

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実際の例(私)をもとに解説してみたいと思います。

 

遺言書を書く

まずは、自筆証書遺言を書きます。

以前は全文を「自筆」(手書き)で書かなければ無効でしたが、2019年1月13日より財産目録(財産の一覧)については【パソコンでの作成】や【財産に関する資料の添付】でもOKになっています。

※預貯金であれば通帳のコピー、不動産であれば登記簿謄本など

【本文】
本文は手書きです。
①内容(誰に何をあげるか、誰を遺言執行者にするか、等)
②作成年月日
③署名・捺印(三文判でもOKです)

私の場合は、家にあったB5サイズの便箋に書きましたが、法務局に持って行った際に、スキャンの関係でA4の紙に貼らされました。

なので、A4の紙に書くことをお勧めします。

【財産目録】
これはパソコンでの作成でもOKですが、各ページの右下に署名と捺印が必要です。
ざっくりと書いてもいいのですが、余裕がある方は財産を細かく列挙したり、注意事項などを書いておいたりすると、残された家族が少しでも困らずに済むかと思います。

封筒への封入やホチキス留めは不要です。

 

管轄の遺言書保管所を確認

法務省のHPで管轄の遺言書保管所(法務局)を確認します。

【住所】【本籍地】【所有不動産の所在地】のいずれかを管轄する遺言書保管所(法務局)で保管することができます。

 

申請書を作成する

次に申請書を作成します。

遺言書保管所(法務局)にも用紙がありますが、法務省HPからもダウンロードできます。
ブラウザー上で入力するなら、InternetExplorer(IE)の方がやりやすいです。

全部で5枚記入する必要があります。

1ページ目では、作成年月日・氏名・生年月日・住所・本籍地・電話番号を記入します。
本籍地が分からない・忘れた場合は、本籍地を記載した住民票を取得して確認しましょう(住民票は保管の申請で必要になります)。

 

2ページ目です。

  • 所有している不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(法務局)に保管したい場合は、その不動産の所在地を記載します。
  • 自分自身で作成した自筆証書遺言書に相違ない】旨にチェックします(ここはどの方も必要です)。
  • 後から変更(氏名や本籍など)があった場合は、その内容を記入します(初めて保管する人は記入不要)。
  • 一番下に「遺言書の」ページ数を記入します(私はこの申請書の枚数と勘違いしていたので、遺言書保管所(法務局)に持ち込んだ時に指摘され、その場で修正(5→3)しています)。

 

3ページ目では、受遺者(相続人以外に遺言で財産をもらう人)や遺言執行者がいれば、その人に関する情報を記載します(ここで付けた通し番号は、4ページ目に影響してきます)。

私の場合は、妻を遺言執行者にしていましたので、妻の情報を記載しました。

 

4ページ目です。
遺言書を書いて保管しても、その事実や内容が関係者に伝わらないと意味がないので、自分が死亡した後、遺言書が保管されている旨を伝える相手を指定するのがこのページです
本格運用は2021年以降とのこと

その際に、【遺言書保管所(法務局)】と【市町村の戸籍係】との間で情報のやり取りをすることに同意するのであればチェックを入れ、その下の①か②で通知してほしい人を指定します。

受遺者や遺言執行者を指定するのであれば、3ページ目で付けたその人の通し番号を記入します。

私の場合は、遺言執行者でもある妻に通知が行くようにしました(通し番号「1」を記入)。

 

5ページ目は保管料である収入印紙を貼る用紙です。
住所・氏名を記入し、「納付金額」の欄に保管料の3,900円を記入します。

ここまで記入できたら、出力します。

出力後、2ページ目に署名・押印(三文判でOK)します。

5ページ目には、3,900円分の収入印紙を貼ります(割印したらダメです)
収入印紙は、法務局内でも購入できます。

 

予約する

法務局に行く前に、事前予約が必要です(2営業日前までに)。

法務局手続案内予約サービス」から予約可能です。

 

書類を揃えて法務局へ

遺言書と申請書に加えて、

  • 住民票(本籍地が記載されているもの
  • 本人確認書類(免許証やマイナンバーカードなど)

を用意します。

住民票は、マイナンバーカードを持っていればコンビニで取得可能です。

 

法務局では、職員による書類のチェック(遺言書が法的に有効なものかどうかまでは見てくれません)とスキャンを経て、最後に「保管証」が交付されます。

ちなみに待ち時間ですが、私の場合は、法務局に出向く際に、通り雨に降られ、紙が少し濡れてしまったため、スキャン前に紙を乾かす時間を含めて1時間弱かかりましたが、そういうことがなければ10~20分程度で終わるのではないかと思います(余裕をもって30分ほど見ておきましょう)。

一緒にこんな書類ももらえます。

自筆証書遺言書の作成と保管にかかった金額

自筆証書遺言書の作成と保管にかかった金額は下記の通りです。

作成 :無料(自分で作りますので)
保管料:3,900円(収入印紙を購入)
住民票:   200円(役所で取る場合は300円かかります)
合計 :4,100円

内容のチェックが受けられないというデメリットはありますが、遺言書の紛失・改ざんリスクを回避でき、家庭裁判所での検認が不要ということを考えれば、とても安いと思います。

ちなみに、事業をされている方は、この費用は経費にはできません(事業には関係ないので)。

 

まとめー私が自筆証書遺言書を書いた理由

現在36歳の私が自筆証書遺言書を書いた理由は、下の記事に書いた通りです。

若い人こそ遺言書を書いておいた方がいい理由

私には妻と子ども2人(小学1年生・幼稚園年中)がいますが、遺言書がなければ、妻に全財産を残したいと思っていても、遺産分割協議により、子ども2人にも相続分を確保しなければなりません。

子ども2人はともに未成年なので、特別代理人を立てる必要があり、その特別代理人は法定相続分を確保しにいかなければならないからです。

特別代理人を立てる手間がかかることも考えると、若い人こそこの制度を活かして、遺言書を書いておく必要があるかと思います。