様々な減価償却方法とその使いどころ

通常、事業用の固定資産は、「定額法」か「定率法」という方法を使って、
何年かかけて経費化(=減価償却)していきます。

しかし、購入金額によっては、違う方法を選択することも可能です。

目的に合った使い分けも可能です。

 

通常は2~50年程度で償却

通常であれば、購入した時の金額をもとに、2~50年程度かけて償却していきます。

年数は資産の種類によって決まっていますが、会社の場合は、自分が適当だと思う年数で
償却しても構いません(その代わり、法律で決められた年数での償却額との差額を、税金
計算の際に調整する必要はあります)。

償却の仕方には、下のリンク先記事にもあるように、「定額法」と「定率法」という2つの
減価償却方法があります。

2つの減価償却方法

 

30万円未満なら一括で経費にすることが可能

ただし、少額の資産までいちいち減価償却していると管理が大変なので、
30万円未満※の資産については、一括で経費にしてもよいという特例があります。

※税抜きの会計処理をしている場合は税抜金額、税込みの会計処理をしている場合は税込金額で30万円未満です。

この処理方法は、金額帯によって、さらに2つの方法に分けられます。

金額帯 処理方法 備考

10万円未満

または

使用可能な期間が1年未満のもの

一括経費が可能

年間合計額の制限なし
10万円以上30万円未満

一括経費が可能

年間300万円まで(超えた場合は、通常の減価償却または3年均等償却(後述)をする必要がある)

申告書に明細をつける必要がある。

 

 

20万円未満なら、3年均等償却も可能

さらに20万円未満の資産については、購入金額の3分の1ずつを、3年に
渡って償却していくことも可能です。

 

それぞれの償却方法の使いどころ

以上をまとめると、次の表の通りになります。

  ~10万円 10~20万円 20~30万円 30万円~
通常
一括で経費
(使用可能期間が1年未満のものを除く)

(~年300万円)

(~年300万円) ×
3年均等償却 × ×

 

30万円未満の資産であれば複数の方法を選択できますが、それぞれの使いどころについて
解説したいと思います。

資産を管理したいなら、通常の償却方法

資産の数が多くなく、1つ1つを管理したいなら、通常の減価償却方法を使うのもいいかも
しれません。

一括で経費にする方法や3年均等償却の場合、最終的には購入金額の全額を経費にして
しまうため、今その資産が有るのか無いのか分からなくなってしまうことがあります。

会計ソフトや税務ソフトによっては、そういった資産は固定資産台帳に残らない場合が
あります。

一方、通常の減価償却方法なら、全額を償却せず、最後は備忘価額として1円を残すため、
売ったり捨てたりしなければ、必ず固定資産台帳には残ります。

もちろん、毎年その資産が有るか無いかの確認は必要ですが、固定資産台帳には記載されて
いるので、その確認がしやすいです。

 

法人税の節税をしたいなら、一括で経費

一括で経費にするメリットは、何と言っても法人税などの節税です。

しかし、節税になるからと言って、決算日間際に不要不急のまとめ買いなどをするのは
お勧めできません。

 

固定資産税の節税と利益調整をしたいなら、3年均等償却

3年均等償却をする資産については、固定資産税の課税対象にはなりません。

不動産と車以外の資産が150万円以上となりそうな場合は、3年均等償却を検討してみても
良いかもしれません。

償却資産申告について

また、一括で経費にすると赤字になりそうな場合、繰越欠損金を優先的に使いたい場合など、
利益調整が必要な場合にも3年均等償却はお勧めです。

 

最終的には(ほぼ)全額が償却される

ただし、どの償却方法を採用したとしても、最終的には(ほぼ)全額が償却され、経費に
なるので、長い目で見れば、(固定資産税を除いて)節税という点ではそこまで効果は変わり
ません。

1年か、3年か、数年かの違いだけです。