確定申告書には相続税申告のヒントが満載

事業をしている人や家賃収入がある人は、毎年確定申告をしていると思いますが、
この確定申告書には、相続税申告をする上でのヒントが満載です。

どこを見れば何が分かるかについて解説したいと思います。

 

確定申告書から分かること

まず、申告書から分かることについて解説します。
(決算書からも分かる事項については、「決算書から分かること」に譲っています。)

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項目 分かること

どの銘柄の株式を持っているかが分かります。

配当金額から逆算して何株持っているかも分かり、直近の株価からおおよその評価額も割り出せます。

個人年金をもらっている場合は「雑所得」の「その他」に、満期保険金や解約返戻金を受け取っている場合は「一時所得」に、それぞれ金額が載ります。

第2表では、どの保険会社からもらっているかが分かりますので、その保険会社にまだ契約が残っていないか・まだもらえる保険金などはないかを問い合わせる必要があります。

小規模企業共済やiDeCoなどに加入していたことが分かります。

ここから死亡退職金を受け取ることができます
(生命保険金とは別枠で、【500万円×相続人の数】の非課税枠あり)。

生命保険に加入していたことが分かります。

生命保険金や入院保険金等の請求漏れがないかの確認や本人以外の人を被保険者にしている契約がないかを確認する必要があります。

自宅に地震保険をかけていたことが分かります。

積み立て型の保険(建更など)については積み立て額を財産に計上する必要がありますし、それ以外の損害保険でも未経過期間の保険料を財産に計上する必要があります。

誰と生計を一緒にしていたかや、その人たちの障害の有無相続人の所得の有無などが分かります。

住宅ローンの有無が分かります。

団体信用生命保険付きのローンは債務控除ができませんが、そうでないものも含まれている可能性がありますので、中身の確認は必要です。

 

また特定口座を持っている場合は、次のような計算明細書も一緒に提出していることがあります。
(前年から繰り越している損失や来年に繰り越す損失が無ければ、出していない場合もあります。)

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特に2枚目には証券会社などの名前が載っており、ここから取引のあった証券会社が分かりますので、
問い合わせて、株などが残っていないか確認できます。

 

決算書から分かること

決算書からも被相続人に関する色んなことが分かります。

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項目 分かること

事業用の損害保険料に入っていれば、損害保険料の欄に金額が入っていると思います。

総勘定元帳などから、どこの損保会社と取引があったかを調べ、未経過保険料の金額
調べる必要があります。

誰にいくら給料を支払っていたか、誰と生計を一緒にしていたか、その人にはどれくらい貯金がありそうかなどが推測できます。

その人が給料の割に預貯金をたくさん持っていたら、「名義預金」がないかを調べる必要があります。

建物は固定資産税納税通知書などでも分かりますが、それ以外の資産(器具備品、機械、車、構築物(看板や駐車場のアスファルト舗装など))の確認には、ここを見る必要があります。

お金を借りている場合は借入先と残高が載りますので、要返済額の有無や債務控除できる金額の確認ができます。

事務所や店舗を借りている場合は家主の名前や家賃が載ります。

家主に預けている敷金や保証金は財産に計上する必要がありますので、賃貸借契約書がないか
確認しましょう。

事業に関する財産・債務が載っている「貸借対照表」です。

ここに載っている財産・債務も相続税の計算対象ですので、総勘定元帳などで中身を確認しましょう。

 

事業所得の場合を例に出しましたが、不動産所得の場合も見るべきポイントはほぼ同じです。
不動産所得特有のポイントは、2ページ目の「収入の内訳」です。

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ここから各不動産の利用状況や入居状況(不動産の評価額に関わることもあります)、誰からいくら敷金や保証金を預かっているかなどが確認できます。

 

まとめ

ただし、1年分を見ただけでは分からないこともありますので、複数年分見ることが大切です。

また、申告書・決算書だけでなく、総勘定元帳やそれらを作るために使った書類も一緒に
確認すると、より中身が見えてきます。