相続手続きのスケジュール

相続に関する手続きには、期限のあるものと期限のないものがあります。
多くの方にとっては、平日や日中に仕事や家事をしながらの片手間で進めていくことになりますが、
まずどのようなスケジュールになっているかを把握していただきたいと思います。

 

相続手続きのスケジュール表

まず、相続手続きを時系列にすると、次のような感じになります(人によって必要な手続き・不要な手続きがあると思いますが、とりあえず一通り網羅しています)。

期限 手続き 手続き先 備考
7日以内 死亡届の提出 市町村 他に、世帯主の変更、各種社会保険の資格喪失届などが市町村でできます。
3か月以内 相続放棄または限定承認の申出期限 家庭裁判所 期間延長も可能です。
相続放棄は放棄したい人だけで、限定承認は相続人全員で行います。
4か月以内 所得税・消費税の準確定申告・納付期限 税務署 計算の結果、還付となる場合は遅れてもOKです。
10か月以内 相続税申告
・納付期限
税務署  
1年以内 遺留分の
減殺請求期限
裁判所(話し合いで解決しない場合) 遺言書で財産を分けた場合
2年以内 葬祭料・埋葬費・葬祭費の請求期限 業務上の死亡→労基署

会社の健康保険に加入していた場合→協会けんぽ又は健康保険組合

国民健康保険に加入していた場合→市町村

 
3年以内 生命保険金の請求期限 生命保険会社 相続税の計算対象になるので、相続税がかかりそうな場合はもっと早く請求した方がいいです。
3年経過年の12月31日まで 【空き家の3,000万円控除】を受ける場合の空き家の売却期限 税務署 申告は売却年の翌年3月15日までです。
(どちらか1つしか使えません)
3年10か月以内 【取得費の特例】を受ける場合の相続財産の売却期限 税務署
5年以内 遺族年金の請求期限 基礎年金のみ→市町村
厚生年金→年金事務所
 
5年10か月以内 相続税申告の更正の請求期限 税務署 相続税を納めすぎていた場合に、申告をやり直して税金を取り戻す手続きです。

※新型コロナウイルスの影響で期限が延びている(または延ばせる)手続きもあります。

また、期限のない手続きは次の4つです。

手続き 手続き先 備考
遺産分割協議 なし
(相続人全員が集まって実施)
できていなくても相続税申告は可能ですが、後で分け方が決まった時に修正申告等が必要になり、二度手間になりますので、申告が必要な場合は10か月以内に済ませるようにしましょう。
自筆証書遺言の検認 家庭裁判所 死亡届を提出してから約1週間後に除籍謄本(死亡の事実が記載された戸籍)ができ、それが必要になります。
預貯金等の解約・換金・名義変更手続き 金融機関  
不動産登記 法務局 放っておくと二次相続・三次相続があった時に手続きが面倒になります。

 

これらは法定の期限こそありませんが、先送りにしていると何かと面倒なことになりますので、早めにやっておいた方がいいでしょう。

必要書類が期限のある手続きと共通していることが多いですし(戸籍謄本、印鑑登録証明書など)、遺産分割協議書や遺言書などの存在を前提とした手続きもありますので、期限のある・なしに関わらず、まとめてやってしまうことをお勧めします。

特に不動産の相続登記については、未登記のまま放っておかれている不動産が多くて問題になっているので、今後義務化される見通しです。