持続化給付金をもらえる人ともらえる金額ともらい方

新型コロナウイルスの影響で売上が激減した人(会社)が受け取ることができる「持続化給付金」について、
どんな人(会社)が当てはまるか、いくらもらえるか、どうやったらもらえるか、注意点などをまとめてみました。

※令和2年度補正予算案が成立していることが前提です。

 

持続化給付金とは

まず持続化給付金とは何かについて説明します。

持続化給付金とは、今年の1月以降の任意の月で、売上が前年同月比50%以上減少した個人事業主や会社(NPO法人などもOK)が受け取ることができる給付金です。

全国民が1人10万円ずつもらえる「特別定額給付金」とは別物です。

個人事業主は最大100万円会社は最大200万円受け取れます。

通常の補助金ですと、用途が決まっていたり、国などへの報告義務があったりしますが、持続化給付金についてはそれがありません。
どのように使ってもいいですし、報告の必要もありません。

 

どんな人(会社)がもらえるか

個人事業主資本金10億円未満の会社がもらうことができます。

ただし、この個人事業主には次のような人は含まれません。

  • 事業収入が不動産賃貸のみの方
  • 副業などをしていて、その収入を「雑所得」として申告している人

基本的には幅広い業種でもらえる可能性がありますが、性風俗業など給付の対象外となっている業種もあります。

 

給付の基準ともらえる金額

給付の対象となる売上減少の基準と、基準に当てはまった場合にもらえる金額の計算方法は、その人(会社)によって異なります。

なお、給付金額の計算は、オンラインで申請する時に自動計算してくれます。

通常の場合

通常は、今年の1月以降の任意の月(以下、「対象月」)で、売上が前年同月比50%以上減少していれば、給付の対象となります。
もらえる金額は、次の計算式で算出します(10万円未満切り捨て)。

 もらえる金額(最大100or200万円)=前年の売上金額ー対象月×12

※ここで言う「前年」とは、個人事業主と会社とでそれぞれ次のようになります(以下同じ)。

  • 個人事業主の場合は、2019年1月1日~2019年12月31日を指します。
  • 会社の場合は、直前の事業年度を指します。
    例)3月決算の会社の場合:2019年4月1日~2020年3月31日事業年度

 

上の表の例ですと、今年の4月の売上が前年同月比で50%以上減少していますので、給付の対象となります。

そして、もらえる金額は、500万円ー20万円×12=260万円>200万円で、200万円となります。

 

個人事業主で白色申告をしている場合

個人事業主で白色申告をしている場合は、今年と前年の売上の比べ方が異なります。

白色申告は、青色申告と違い、確定申告書と一緒に出す「収支内訳書」(決算書のようなもの)に月ごとの売上を書いていないからです。

 青色申告なら出来る節税法

白色申告の場合は、前年の売上の月平均額との比較になります。
上記の表だと、300万円÷12=25万円で、4月がその50%以下なので、給付の対象となります。

給付額の計算方法は同じです。
(300万円ー10万円×12=180万円>100万円 ∴100万円

 

前年の申告が終わっていない場合

特に3月決算の会社の場合は、申告がまだという会社もあるかと思います。
また、コロナの影響で申告期限を延長している方もいらっしゃるかと思います。

その場合には、2つの方法があります。

 

1つは、前々年(前々事業年度)の売上と比較する方法です。
この場合は、判定も給付金額の計算も、前々年の数字を使うことになります。
(580万円ー20万円×12=340万円>200万円 ∴200万円

もう1つは、前年の売上金額について、税理士などに証明をしてもらう方法です。
様式は特に決まっていませんが、前年の毎月の売上の一覧表を作り、それに税理士の署名押印をしてもらう方法が考えられます。
この場合は、前年の数字を使うことになります。

(430万円ー20万円×12=190万円<200万円 ∴190万円

 

2019年中に創業した場合

2019年中(1/1~12/31)に会社を設立したり、事業を始めたりした場合は、2019年中(創業・設立~12/31まで)の売上の月平均額との比較になります。

そして給付額の計算も、2019年中の売上額を12か月換算した金額をもとに計算します。
((40万円+50万円+50万円)÷3×12ー20万円×12=320万円>200万円 ∴200万円

 

売上に季節変動がある場合

農林水産業のように、売上が1年のどこかの月に偏っている場合は、それを考慮することもできます。
条件は次の通りです。

  1. 2020年の任意の月を含む連続3か月間※(2019年中にかかっていてもOK)の売上金額が、前年同期間の売上金額と比べて50%以上減少していること。
    ※3か月目は2020年12月までとします。
  2. 前年同期間の売上金額が、同じ年の売上金額の50%以上を占めていること。

表の例ですと、2019年度は2019年4~6月の3か月売上だけで年間売上の6割を占めています。
そして2020年度は、2020年4~6月の3か月売上が前年同時期と比べて50%以上減少していますので、この方法が使えます。

この場合は、今年と前年の3か月間の売上の差額分が給付額となります。
(70+120+80)-(40+20+20)=190万円<200万円 ∴190万円

ただし、最初のパターンで計算した方が有利なら、そちらを使った方がいい場合もあります。
(表の例なら、5月の売上で比較した方が、上限額の200万円までもらえます。)

 

法人成りした場合

個人事業から法人に成った場合は、法人成りした年によって比較・計算の仕方が異なります。

2018年以前に法人成りした場合は、個人事業時代の売上と法人成り後の売上とを比較することができます。

2019年に法人成りした場合は、上記の「2019年中に創業した場合」に当たります。

そして上限額については、

  • 2020年4月1日以前に法人成りした場合は、200万円
  • 2020年4月2日以後に法人成りした場合は、100万円

となります(駆け込みで会社にしても個人事業主扱いです)。

 

その他

前年も災害で売上が減少していた場合は、前々年の売上を使うことができます。
その場合には、罹災証明書が必要になります(市町村が発行してくれます)。

また、NPO法人や公益法人などの場合は、補助金や寄附金などの収入を除いて判定・計算します。

他にも、合併した場合や連結納税をしている場合、事業承継をした場合の措置もありますが、ここでは割愛させて頂きます。

 

申請の流れ

申請の流れは、次の通りです(経済産業省HPより)。

kyufukin

オンラインでの申請が基本となります。
会社の場合は、基本情報の欄に「法人番号」を入力しなければならないので、事前に調べておきましょう。

 国税庁法人番号公表サイト

そして、以下の必要書類をPDFや写真でアップロードする必要があります(経済産業省HPより)。

kyufukin2

  • 会社については【法人税申告書の別表1】【事業概況説明書】
    個人事業主については【確定申告書の第1表】【決算書の1,2ページ目】(青色申告している人のみ)が
    必要になります。
  • 売上台帳は、エクセルや手書きで作ったものや、会計ソフトからの出力でOKです(何月分かが分かるようにしておく必要があります)。

特別の事情がある場合には、追加の資料が必要になります。

  • 前々年の売上を使う場合(季節変動がある場合もこれに当てはまることがあります)
    前々年の申告書や決算書
  • 法人成りした場合や2019年中に創業した場合
    会社   ・・・履歴事項全部証明書(会社の謄本)、法人設立届出書
    個人事業主・・・開業届(e-Taxで届け出ている場合は、受信通知メールを出力したものも必要です)

    会社の謄本を取得する時は、こんな時期ですので、こんな方法がお勧めです。
    登記・供託オンライン申請システムで証明書を取得する方法

  • 災害で2019年の売上も少なかった場合
    罹災証明書(2018年から2019年に出してもらったものに限ります)

 

注意点

ここまでで述べた以外に注意すべき点を列挙してみます。

  • 今のところ、2019年12月までに開業した人にしか利用できません。
    また、税務署等への開業届を忘れていると(2020年4月1日までに出していないと)、
    この給付金がもらえませんので、ご注意ください。
    (後出しで開業届を出しても、受付印などで分かってしまいます。)
  • 緊急時なので、通常の補助金よりも審査はきつくなさそうですし、書類も少なくて済みますが、
    不正受給が分かった場合は、給付金の返還や損害賠償などを求められる場合がありますので、
    正直に申請しましょう。
  • 申請できるのは、上限に達している・達していないに関係なく、1回限りです。
    例えば、4月の売上を基準にして給付金180万円を受け取った場合、その後5月の売上を基準にして受け取った場合の給付金が200万円であっても、差額の20万円を受け取ることはできません。

    4月の売上で受給できる金額を試算してみて、上限に達していなかったら、上限に達するまで待ってみるのもいいかもしれません(もし待てるのであれば)。

 

まとめ

売上が基準に該当している場合は、とりあえず出してみてください。
出してみて、不足書類や追加書類があれば、経済産業省や経済産業局から指示があると思いますので。

あと、申請要領はきちんと読んでください。
 持続化給付金(経済産業省HP)

また、各自治体でも、休業要請に従って休業した場合に給付金がもらえるところもありますので、そちらもチェックしてみてください。
持続化給付金の必要書類とかぶる場合もあり、手間が少し省けるかもしれません。

もらえるものはもらっておきましょう。

※2020年5月19日追記
 お客様の申請手続きを何件かお手伝い(資料の準備、アドバイスなど)させていただきましたが、
 だいたい1週間程度で振込が行われているようです。

※2020年7月4日追記
 持続化給付金の給付対象者が拡大(フリーランスや2020年創業者もOK)されました。

持続化給付金の給付対象者が拡大されました!ー業務委託・2020年創業の方もOKに