確定申告したら終わり、ではない!ー1年間の納税スケジュール

確定申告をして、所得税(と消費税)を納税したら、それで終わり、ではありません。

その後も納税のスケジュールは目白押しになっています。

 

所得税・消費税の中間納税

所得税と消費税については、直近の申告で納税額が大きい場合は、その後「中間納税」という納税手続きが必要になります。
※所得税については、正確には「予定納税」なのですが、分かりやすく以後「中間納税」で統一します。

 

所得税については、

  • 前年の所得税が15万円以上なら(所得の種類によっては15万円以上でもかからない場合があります)
  • その3分の1ずつを、
  • 7月末と11月末までに、それぞれ納税する必要があります。

消費税については、

  • 前年の消費税が48万円以上(地方消費税を除く)なら、
  • その2分の1を、
  • 8月末までに納税する必要があります。

※前年の消費税額が大きい場合は、年3回や年11回になることもあります。

前年の所得税や消費税が大きい場合は、それに伴って中間納税額も大きくなります。

今年に入って売上が激減している場合などは、納税できないということも起こりえます。
その場合は、

  • 所得税については、所得などの見積額に応じて減額を申請することができます
  • 消費税については、半年で仮決算を組んで、その数字を基に消費税の中間納税額を計算することができます

今年に入ってから、コロナの影響で売上が激減しているという方は、この方法を検討することをお勧めします。
そのためにも、毎日・毎月の記帳が大事です。

なお、納税については、振替納税を選択している人は、届け出た口座から振替が行われます。
振替納税をしていない人には、期限が近付けば納付書が届きますので、それで納税をします。

中間納税額については、翌年の申告で、所得税や住民税から差し引くことができます(引ききれない場合は還付もあります)。

 

住民税

確定申告をすると、その情報がお住まいの自治体(市町村)に転送されます。
自治体は、その情報をもとに住民税を計算し、5月頃に「納税通知書」を送ってきます。

この納税通知書と一緒に入っている納付書を使って、年4回に分けて納税する必要があります
※納付月は自治体によって異なります(大阪市の場合は6月・8月・10月・1月の各月末です)。また、一括で払ってしまっても構いません。口座振替も可能です(所得税の振替納税とは別物)。

所得税と違い、税率は基本的に一律10%ですし、中間納税という制度もありませんので、所得税が安く済んだ(むしろ還付があった)と思って油断していると、納税通知書に書かれた金額を見てギョッとすることもあります。

そうならないよう、当事務所では、確定申告のご依頼をいただいた際は、住民税と事業税をエクセルで試算するサービスも行っています。

なお、サラリーマンの方の場合は、勤務先の給与から毎月天引きされ、勤務先の会社が代わりに納税してくれていると思います。

しかし、

  • 副業(アルバイトなどは除く)
  • 株取引
  • 不動産の売却

などで確定申告をしている場合は、その分に対する住民税だけ納税通知書が届きますので、自分で納める必要が出てきます。

 

事業税

個人事業主の方や不動産オーナーの方の場合、利益が年間290万円を超えると、事業税がかかることがあります(業種や規模によっては非課税になることもあります)。

事業税がかかる場合は、都道府県の税務関係部署(大阪の場合は府税事務所)より「納税通知書」が郵送されてきます。

納税通知書を使って、半分ずつを8月末11月末までにそれぞれ納税する必要があります。

なお、事業税については、払った年の確定申告で経費(租税公課)に入れることができます。

 

固定資産税

不動産を持っていれば、事業をしていなくても固定資産税がかかります。
4月頃に納税通知書が送られてきて、住民税と同じく年4回支払う必要があります。
※大阪市の場合は、4月・7月・12月・2月の各月末が期限です。

また、不動産と車以外の業務用の資産の帳簿残高(通常の減価償却計算とは方法が少し違います)が150万円以上の場合にも固定資産税がかかりますので、注意が必要です。

固定資産税も事業用にかかるものは経費にすることができます。

 

まとめ

以上を年間スケジュールにすると、次の表の通りになります(大阪市の場合)。

  所得税 消費税 住民税 事業税 固定資産税
4月 振替納税している場合は、前年分の納税 振替納税している場合は、前年分の納税     1回目
5月          
6月     1回目    
7月 中間納税
1回目
      2回目
8月   中間納税 2回目 1回目  
9月          
10月     3回目    
11月 中間納税
2回目
    2回目  
12月         3回目
1月     4回目    
2月         4回目
3月 振替納税していない場合は、前年分の納税 振替納税していない場合は、前年分の納税      

※今年はコロナの影響で期限が延びていますが、通常の場合の期限を載せています。

自治体によって住民税と固定資産税の納税時期に違いがあったり、人によってはかからない税目があったりしますが、ほぼ毎月のように何かしらの納税予定があります。

確定申告と納税が終わって一安心、ではなく、そこから1年間の納税スケジュールが始まるのだと心得ておいてください。