「保険料贈与」をおすすめする3つの理由
相続税対策の中で最もポピュラーな方法が「生前贈与」です(個人的に)。
- 毎年
- 何年にも渡って
- 何人にも
- 少しずつ
贈与していくことで、節税の効果を発揮します。
しかし、ただお金を贈与して終わり、というのではなく、例えば生命保険の「保険料」相当額を贈与することをおすすめします。
目次
「保険料贈与」とは?
「保険料贈与」とは、受贈者(お金をもらった側)が生命保険に加入し、その保険料相当額のお金を贈与し、保険料の支払いに充ててもらうという贈与手法です。
要は現金の贈与なのですが、生命保険への加入と贈与資金を保険料の支払いに充ててもらうという手間が加わります。
この手法を利用する上で、贈与資金の入金口座と保険料の支払口座は、受贈者名義の同一の口座にしておくことをおすすめします。
いちいち資金移動をさせなくてよいというのも理由の1つですが、それ以上の理由は後述します。
「保険料贈与」をおすすめする3つの理由
ただお金を渡すのではなく、そのお金を使って、受贈者に生命保険に入ってもらうことをおすすめするのには次のような理由があります。
無駄遣いを防ぎ、受贈者のためになる使い方をしてもらう
1つ目は、贈与したお金で無駄遣いされるのを防ぐためです。
大前提として、受贈者は贈与してもらったお金はどのように使っても構いません。
逆に贈与者の許可がなければ自由に使えないのなら、そもそも贈与が成立しなくなります。
贈与が成立しないと、あげたつもりのお金は、贈与者の財産の一部を構成することになり、相続税対策にはならなくなります。
受贈者の側も、何の苦労もなくもらったお金というのは、自分が働いて得たお金と比べると、どうしても散財してしまいがちです。
特に相続税対策では、100万円、200万円、300万円というお金が比較的若い世代の方に移ります(人によりますが、若い世代にとっては大金とも言えます)。
しかし、せっかくあげたお金なら、受贈者のためになるように使ってほしいというのも人情です。
そこで、生命保険に入ってもらい、同じ口座から自動的に保険料の支払が行われることで、無駄遣いを防ぎ、受贈者の将来への備え(病気や老後への備え)に使うことができます。
贈与と使用の記録が残る
2つ目は、受贈者名義の口座で入金と支払いを行うので、記録(入出金日・使途・入金元・支払先など)が残るためです。
贈与した証拠の1つとして、受贈者名義の口座に入金することは、よく勧められることですが、保険料の支払いをすることで受贈者が自分自身のために使ったという証拠も残すことができます。
比較的保険に入りやすく、保険料が割安
最後の理由は、若い世代の場合、比較的保険に加入しやすい上に、保険料も安く済むためです。
病気や死亡のリスクが他の世代に比べると低いからです。
おすすめの保険
※具体的な保険商品の紹介ではありません。
保険料贈与で加入をおすすめするのが、次のような保険です。
- 個人年金保険
受贈者の老後の備えにおすすめです。年金を受給する時は、支払った保険料の一部を控除できますので、所得(雑所得)を抑えることもできます。 - 医療保険
病気やケガなどへの備えにおすすめです。
受け取った入院保険金や手術保険金などは非課税になります。
注意点
保険料贈与を行う上での注意点は次の通りです。
- 贈与の形式を整えること
通常の贈与と同じく、贈与が成立するように形式を整えることが大事です。
贈与契約書の締結、受贈者名義の口座への入金、口座の管理(受贈者自身が管理する)などです。保険会社によっては、保険商品のパンフレットなどに贈与契約書のひな型を載せてあって、そのまま切り取るかコピーして、書き込めば使えるようになっています。
- 生命保険料控除は受贈者にて行うこと
受贈者が契約者として、保険料を支払っているのですから、年末調整や確定申告での生命保険料控除は受贈者にて行わなければなりません。
まとめ
保険料贈与以外にも、つみたてNISAやiDeCoなどの掛け金相当額を贈与するのも、受贈者の将来への備えになり、おすすめです。
贈与するなら、もらう人のためになることも考えてみてはいかがでしょうか?