住宅ローン控除の注意点

住宅ローンを組んで自宅を購入(新築も含む)したら受けられる「住宅ローン控除」。

所得税と住民税から最大20~50万円/年(住宅の種類によって変わります)を10年間(消費税10%適用分からは13年間)に渡って控除ができるというものです。

今回は、住宅ローン控除で特に誤りやすいポイントを挙げてみました。

 

築年数が古いと適用が受けられないことも

中古の住宅をローンで買った場合には、築年数や構造によっては住宅ローン控除を受けられないことがあります。

中古住宅特有の要件は以下の通りです(2~4はどれか1つを満たしていればいいです)。

  1. 建築後に使用されたことがあること。
  2. 築20年以内(マンションなどの場合は25年以内)であること。
  3. 耐震基準に適合している(その証明がなされている)こと。
  4. 耐震基準には適合していないが、耐震工事をすることを申請し、居住開始までに耐震工事をして、耐震基準に適合する(その証明がなされる)こと。

 

最近、購入した中古住宅をリノベーションして住むということが流行っているようですが、築年数が古かったり、耐震基準に適合していなかったりで、ローンを組んだはいいが、控除は受けられないというのを時々みかけます。

住宅ローンを組むと、銀行から「住宅ローン残高証明書」(名前は銀行によって違う)という書類が送られてくることがあるので、住宅ローン控除が受けられるのかなと思ってしまいますが、必ずしもそうではありません。

条件に合致しているか、よくよく確認しましょう。

 

 

贈与金額や補助金は購入金額から差し引く

これは、間違っている例が多くて以前ニュースにもなっていました。

住宅ローン控除ができる金額は、次のどちらか少ない方の1%になります(10年目まで)。

  1. 年末の住宅ローン残高
  2. 住宅の購入金額

この時、住宅の購入に際して、親御さんや祖父母から援助を受けて贈与税の非課税特例を受けたり、補助金を受け取ったりしていた場合は、その金額を2の住宅の購入金額から差し引く必要があります。

 

これが漏れている例がたくさんあって、順次修正申告を求められているようです。

住宅取得資金贈与の3つの注意点

 

 

売却時の特例とのダブル適用ができないことも

旧自宅を売却し、住宅ローンを組んで新居を買うこともあるかと思います。

自宅を売却すると、通常は売却益に対して約20%(短期間で売ると約40%)の所得税や住民税がかかりますが、税金の負担を少なくできる特例がいくつかあります(1と2は、どちらか一方のみ)。

  1. 売却益から最大3,000万円控除できる特例
  2. 新居に買い換えた場合に、旧居の売却益に対する税金をかからなくする特例※(買換え特例
  3. 軽減税率約14%の特例(10年以上住んでいた旧居について、売却益6,000万円まで)

※将来新居を売却する時に、新居の売却益に旧居の売却益が上乗せされるので、永久的に税金がかからなくなるわけではありません。また、旧居の売却金額>新居の購入金額の場合は、少し税金がかかります。

 

これらの特例は、目先の税金を大幅に減らすことができる、おいしい特典ではありますが、
難点は「年によっては住宅ローン控除とのダブル適用ができない」という点です。

新居に入居した年とその前後2年ずつの間にこれらの特例を受けた場合は、住宅ローン控除の適用はできないのです。

そのため、新居に入居した年に旧居も売却して特例を受けた場合は、最初の3年間は住宅ローン控除が受けられないことになります。

 

では、

  • 特例は諦めて、住宅ローン控除を丸々10年間(消費税10%適用分は13年間)受けるのと、
  • 最初の1~3年は住宅ローン控除を諦めて、特例を受けるのと、

どちらがよいかと言われたら、

  • 特例を使わなかった場合の売却益に対する税金
  • その人の所得(現在だけでなく、将来も含めて)
  • 新居の購入金額やローン金額

によりますので、一概には言えません。これらの数字を落とし込んで、シミュレーションしてみるしかありません。

 

旧居を売却した後、すぐに新居を買わない場合(しばらくは賃貸住宅に住む場合など)は、特例を受けつつ、住宅ローン控除も丸々10年(or13年)間受けられるということも可能です。