経理の3段階ー収集・記録・保管

経理の作業は、大きく分けると、

  • 収集
  • 記録
  • 保管

の3段階に分けることができます。経理は、この3つの繰り返しなので、シンプルといえばシンプルです。

 

収集する

まず経理をする上でやるべきことは、取引の証拠である資料を「収集」することです。

この取引の証拠とは、領収書や請求書などを指します。

収集をしないと経理が始まりませんし、後から整理しようとすると紛失したり、どこに置いたか分からなくなったり、経費の存在を忘れたりして、結果的に損をする(経費が計上できない)ことになります(紛失をしても、計上できないことはないのですが)。

収集のコツは次の通りです。

  • 領収書・・・その日のうちに財布から取り出す。
  • 請求書・・・郵便で届いたらすぐに封を開ける。メールで届いたらすぐに印刷する。
  • ネット注文の場合・・・領収書を印刷するor注文確認のメールを印刷する
  • 領収書が出ない経費(電車・バス代、自動販売機の飲み物、香典やお祝い金など)
    ・・・メモする(香典なら、礼状などに)、「経費精算書」(エクセルなどで作成)に記録する。
  • 預金口座・・・マメに記帳するorネットバンキングを確認する

この中で、請求書については、継続的な取引があれば、1か月分まとめて、翌月初に届くということが多いかと思います。
請求書が届いてから入力してもいいのですが(特に金額が大きくなければ)、納品書であれば取引の都度(仕入の都度)手に入りますので、仕入や経費をリアルタイムで把握することができます。

 

とにかく、手に入ったらすぐに収集にかかることが大切です。

 

記録する

資料を収集出来たら、次は「記録」(=記帳、入力)です。

1か月分、あるいは1年分まとめて入力するよりも、毎日入力していった方が間違いなく良いです。

その理由は、次の通りです。

  • 取引(売上や支払など)の直後なので、どんな取引だったかをよく覚えているから
    (1か月後、1年後だと忘れてしまいます)
  • よく覚えていると、正確に記録できるから
  • まとめてやると、めんどくさいから
    毎日のルーティンにすれば、それほどめんどくさくはないと思います

このような理由があるので、お客様には、ご自身で記帳されることを強くおすすめしています。

何しろ、売上・支払いなどの取引の当事者ですので、税理士が記帳するよりも、当事者であるお客様自身が記帳した方が「正確」だからです。

税理士の役割は、その記帳が、「会計や税務のルール的に正確かどうか」をチェックし、修正する必要があればそれを伝える(教える)ことにあると思います。

また、お客様自身が、手元にある資料で、すぐに・こまめに記帳した方が、税理士に丸投げするよりも早いです

例えば、お客様自身で毎日こまめに記帳していれば、その月の大まかな営業成績は翌月初めには掴めます。

しかし、1か月分の資料をまとめて税理士に丸投げしていたとすると、どんなに早くても、営業成績が分かるのは翌月下旬くらいではないでしょうか(下手すると、2,3か月後にならないと分からないということもあります)。

1年分まとめて丸投げなら、なおさら毎月の成績を具体的な数字で掴むことはできず、決算日から2か月後に「1年間こういう成績だった、税金はいくらだった」というのが分かるだけです。

※以上は、処理量や資料のやり取り時期、取引がパターン化しているかどうか(不動産賃貸のようにある程度損益が読めるかどうか)にもよりますので、すべての方に当てはまるわけではありません。

記帳を、「税金計算のため」だけでなく、「今、商売はどういう状況か」「次は何をしないといけないか」を考えるためのツールとしたいのであれば、「毎日」「こまめに」「ご自身で」記帳されることを強くおすすめします。

 

記帳の手段として代表的な方法は、「会計システム」への入力があります。

会計システムへの入力は、総勘定元帳や決算書(貸借対照表や損益計算書など)を作成する上で、どうしても必要にはなってきます。

最近は「複式簿記」の知識がなくても、ある程度入力はできるようになっていますが、コストはある程度かかりますし、使いにくいものも多いです。

そのため、

  • 取引をエクセルに集計していただいたり、
  • ネットバンキングやクレジットカードの取引データをCSVファイルに吐き出していただいたりして、
  • それを当事務所のシステムに読み込ませる方法もおすすめしています。

    (もちろん、会計システムでの入力ができるようになりたいという方のサポートも積極的に行っております)。

 

保管する

少し話が逸れましたが、記録が終わったら、最後は保管です。

保管のルールや方法については、以前に書いた記事の通りです。

領収書や請求書などの整理の仕方

基本的に、税務調査以外で見返すことはあまり無いのですが、保管期間のルールがありますので、「年度ごと、月ごとに分けること」と「無くさないこと」に主眼を置いて、そこまで手間をかけずに、自分に合ったやり方でやるべきです。

これも毎日やっていれば、そこまでめんどくさくはないと思います。