相続対策=相続税対策 ではない②-分割対策その1

相続「税」対策以外の相続対策の2つ目が、「分割対策」です。

分割対策で一番大事な「遺言書」の作成

「このように分けてほしい」という意思を実現するために重要なのが、
「遺言書」の作成です。

遺言書がない場合は、相続人全員の話し合い(=遺産分割協議)が必要になり、全員が一致をしないと財産を分けることができません。

それに対し、遺言書がある場合には、誰か1人が遺言書の内容通りに分けたいと言えば、その通りに分ける必要がありますので、分け方で揉めないようにするには大事な書類になってきます。

「遺留分」に配慮した遺言書の書き方

遺言書では、遺産を誰にいくらあげるかを自由に指定でき、基本的にはその通りに遺産分けが行われます。

しかし、次の人たちには、遺言書をもってしても侵すことのできない、最低限の取り分があります。これを「遺留分」(いりゅうぶん)といいます。

  1. 配偶者
  2. 子や孫など
  3. 両親や祖父母など  ※孫や両親等は、相続人になる場合のみ

この人たちについては、例えば遺言書で誰か1人に遺産を全部あげる旨が書いてあっても、最低限の取り分=「遺留分」を後から請求する権利があります(権利なので、行使しないことも可能)。

遺留分の割合は、法定相続割合×1/2(上記3の場合は1/3) で計算できます。

例えば、相続人が妻と長男・二男の3人で、遺言書で長男に全財産をあげる旨が書いてあった場合、何ももらえない妻と二男は、長男に対し、下記の割合だけ財産を請求することができます。

妻 :1/2(法定相続割合)×1/2=1/4
二男:1/4(法定相続割合)×1/2=1/8

このように、遺言書は万能ではなく、遺留分に足りない金額を請求される可能性があります。

そのため、誰かの遺留分を侵害していないかどうかにも気を配りつつ、遺産の配分を考える必要があるでしょう。

ちなみに、遺留分を侵害されている場合に請求をする権利は、次の期間行使しなければ消滅します。

  • 自分が遺留分を侵害されていると分かった時から1年間
  • 相続開始から10年間