お年玉には贈与税がかかるのか!?~贈与の話~

新年あけましておめでとうございます。

今年も(と言っても、昨年12月開業なので、実質今年が1年目なのですが・・・)松尾大輔税理士事務所をよろしくお願いいたします。

年末年始はどのように過ごされましたでしょうか?

タイトルにこじつければ、お正月にはお子さんやお孫さん、親戚の子どもたちにお年玉をあげた方も多いのではないかと思います。

お年玉以外にも、

  • 毎月お子さんにお小遣いをあげたり、
  • おもちゃや文房具、車などを買ってあげたり、
  • 結婚や出産、進学などの機会にお祝いをあげたり、
  • 病気をした親族や友人にお見舞い金を渡したり、
  • お子さんやお孫さんの学費を負担してあげたり、
  • 親元を離れて一人暮らしをしている子どもに生活費などを援助してあげたり、

等々、誰かから誰かへ金品を渡す機会は多いものです。

このような「行為」にも、贈与税はかかるのでしょうか?

 

贈与税の基礎知識

まず、「贈与」が成立していることが前提となります。その条件は次の通りです。

  1. あげる人が「あげます」という意思表示をしていること
  2. もらう人が「もらいます」という意思表示をしていること
  3. もらった人が、もらった財産を自由に処分できること

次に贈与税について。

贈与税は、財産をもらった人に対してかかります。

あくまで「もらった人」単位に課税されるので、例えばお父さんとお母さんからそれぞれ100万円ずつ贈与してもらったとすると、100万円ずつをベースに贈与税を計算するのではなくて、両親からもらった合計200万円をベースに贈与税を計算します。

1年間(1月1日から12月31日まで)にもらった合計金額が110万円を超えると、その超えた金額の多寡に応じて、かかってくる贈与税が変わります(儲けが多いほど税金が増える所得税と同じ方式です)。

お年玉やお小遣いは贈与税がかかるのか?

お年玉やお小遣いなども、「あげます」「もらいます」「自由に使える」といった要件を満たしていれば「贈与」に該当しますが、では贈与税はかかるのでしょうか?

おそらく、お年玉などをもらって、後から税金がかかったという人はほとんどいないかと思います。

法律や通達などでは、贈与税がかからないものとして、次のようなものを挙げています(一部抜粋)。

  1. 香典や花輪代、年末年始の贈答(お年玉やお歳暮など)、お祝いやお見舞い

    社交上(おつきあい上)必要なもので、あげる人ともらう人の関係(親戚関係や取引関係など)や金額などから、常識的に考えて妥当なら贈与税は課税されないものとされています。

    「常識的に考えて妥当」が何円までなのかというのは難しく、しばしば問題にもなるのですが、あげる人の経済力や社会的地位、もらう人の年齢などを考慮して、「常識的」な金額といったところです。

  2. 夫婦、親子(孫)、兄弟姉妹間での生活費や教育費の援助
    ・「生活費」は、日常生活を営むのに必要な費用で、病院代なども含みます。
    ・「教育費」は、教育を受けるために必要な学費や教材費、文房具などのための費用です。

    ここで重要なポイントは、
    【必要な金額】を
    【必要な都度】渡し、
    【目的のために使う】ことです。

    たとえば、孫が大学に進学するので、入学金や授業料として500万円を援助してあげた場合。

    この500万円は、入学金や授業料として【必要な金額】で、【必要な都度】(入学時点や学期始めなど)に渡し、孫が入学金や授業料支払いの【目的のために使う】のであれば、贈与税は課税されません。

    この場合、金額は110万円を超えていますが、要件を満たしていれば、超えた部分に対しては贈与税がかかることはありません。

    ですので、学費の援助は、相続税対策的にも、お子さんやお孫さんのためにも、有用な方法です。

    しかし、次のような場合には贈与税がかかる可能性があります。
    ・必要な金額は500万円なのに、多めに渡している場合
    (残りが生活費や家賃などの目的があればよいのですが・・・)
    ・小学校から大学までの16年間分の学費を一括で援助してあげている場合
    (一括で学費を援助してあげる場合には、1,500万円までの非課税が認められる【教育資金贈与特例】という制度もあります)
    ・孫がこの500万円を貯金したり、車を買うのに使ったり、遊びに使ったりした場合(目的外使用)

    これらは、生活費の援助や結婚式代の援助などにもあてはまります。

    あと、夫婦や親子(孫)、兄弟姉妹間、いわゆる「扶養義務者」間での援助というのも重要なポイントです。

年末に贈与し、続けて年初にも贈与を行う

話が少し変わりますが、相続税対策としてよく使われる「暦年贈与」(毎年、一定額の財産を贈与して、手持ちの財産を減らし、相続税の節税につなげる手法)について。

はじめの方で、贈与税は1年間(1月1日から12月31日まで=暦年)にもらった財産に対してかかると言いました。

12月31日を区切りにしているため、例えば年末に100万円を贈与し、年が明けたら続けてもう100万円贈与した場合は、どちらも基礎控除額の110万円以下であるため、贈与税をかけずに、短期間で200万円を贈与することができます。

同じ年(年末or年始)にまとめて200万円贈与すると、9万円の贈与税かかりますので、同じ200万円を贈与するなら、年末と年始で少しだけ日を空け、分割して贈与した方が贈与税を節約することも可能です(ただし、今年の年末まで使える非課税の枠はあと10万円だけになってしまいますが)。

まとめ

このように、年間で110万円を超える金品を渡した場合でも、贈与税がかからないケースはありますが、あとから税務署に指摘を受けないためにも、一度税理士へ相談した方がいいように思います。また、お年玉や学費の援助などでまとまったお金を引き出す際は、通帳にその用途を記録(メモ)しておくこともお勧めです。

【編集後記】

(一応)今日から仕事始め。

といっても、1/4・5も机に座って仕事していたのですが(12/28~1/3は私の実家の愛媛に帰省)。サラリーマンではないので、いつから仕事しないといけないとか、いつまで休めるとかはないのです。